(暗転)



<アイデンティティ>

嫌になる位見てる、ありふれた景色
普通な筈なのに何故か懐かしい
まるで記憶を失くした様に
帰る居場所を捜してた

何でもない様な、何でもない日々を

僕は此処に居る、誰もが忘れたけど
現実が見えてないだけなんでしょうか?
ずっと過去に引き摺られるがままに、
この街で旅をしていた まだ

忘れられない、誰も憶えてないけど
気付かぬうちに人の世界は
変わってしまったのですね・・・


彷徨い果てて出会った、あの日の景色
遠くの記憶はもうあてにならない
まるで居場所を亡くした様に
帰り道で歩き疲れていた

何もかも残らず、何もかも消えていた

僕は此処に逝る、姿だけはないけど
現実から目逸らすのを止めました
ずっと寄りかかっていられたはずなのに、
この街に過去を落とした ただ

捨てられない、何も持ってないけど
知らぬうちに天の世界へ
召されてしまったのですね・・・
どうしてこうなっていたの


不確かな記憶の道を振り返ると、そこに道はなかった
現実は全て歪んでしまったんでしょうか、変わってしまったんでしょうか
不確かな物ばかり、持って生きれば
全て失う、取り戻せなくなる
こうして二度と帰ってこない魂は
もう誰の者でもない、誰も物でない


僕は此処に居た、僕は知らないけど
輪廻はもう、果てていたんです
ずっと過去に寄り添っていたのに、
その姿さえも幻だった・・・? ただ

思い出せない、記憶は残ってないけど
気付かぬうちにどの世界で
彷徨っているかさえも分からなくなってた、

誰も知らないけど
現実はもう見えなくなったんですか?
ずっと見ていたはずの、あの世界は
ただの幻で彷徨っていただけ・・・? まだ

消えられない、何処にも居場所はない
このままずっと死の世界で
死んでゆきます



<空で笑ってる>

素敵な作り笑い シラけさせないで、何するか分かんないよ?
無理しなくてもいいんだ、って君に云えない 僕は臆病者

まだ自分を抑えていられる間なら
普通の感情でいられる
ただ何か一つが崩れ去ったら
終わる

不自然な馴れ合い ジラしたりしないで、何考えるか分かんないよ?
思い出はもう腐ってる、って僕に云い聞かせる 僕は臆病者

まだ君に見せていない僕がいるから
このまま終わらせたくない
ただ何か一つが壊れ始めたら
君に見せる時が来るかもしれないね

「僕は健全な愛を誓います」

嗚呼そんな君に溺れてく 本心は誰にも分からないけど
素直になれなくてもいい、いつか全て切り開いてあげる
何かに縛られてる様な、息苦しさにまみれていた
僕の笑顔が一番作られているみたい

でも君の側で笑ってる


不自然な馴れ合い 離れて行かないで、何処まで変わっていったの?
下らない嘘なんていつか腐っていくと信じてる 僕は歪んでる

もうそろそろ君に見せてあげるから
このまま終わりにしよう
もう何かが狂い始めたみたいだから
こんな日々にはもう、耐えられなくなって

「僕は健全な明日を誓います」

嗚呼そんな君が溺れてく 真実は僕しか知らないけど
素直になれなかったんだ、いつか全て償ってあげる
何かで縛られてる様な、息苦しさに溺れさせて
最期の笑顔がとても素敵だったよ

僕は君の側で笑ってる


冷たくなった君が一番大好きで、もうずっと僕の物だって思ってた
今までのつまらない日々は全て燃やして、思い出を消そう

もう誰の者でもない、君は君の物じゃない
もう君は僕の側から ずっとずっと 離れていかない 離れていけない


嗚呼こんな君に溺れてく あんな君なんて見たくないから
素直になれなかったんだ、いつか全て塗り潰してあげる
都会の色に染まっていった、懐かしさの君が見えて
離れていくようで怖くて、恐かった

嗚呼冷えた君が落ちていく 暗い闇を独りで漂う様に
思い出は全て、闇に葬りましょう


きっと君は空で笑ってる



(MC)

魔導:みなさーん!あけましておめでとーう!
鹿賀:改めまして、水槽の一日でぇーす!
田螺:フーフー!
魔導:さて新年一発目、心機一転と称してのワンマンライブですけども。
鹿賀:ちょっくら長い間お付き合い願います。
田螺:たーのしんでってねぇー!フーフー!



<放浪記>

嗚呼なんて懐かしい景色なんでしょう 白く染められた
見たことのないような黄昏は、目の前で散ってた

記憶を失くしてから、どれだけの間
逃げ続けていただろう 記憶にない

嗚呼なんて輝かしい日々なんでしょう 黒く染められた
見えない奥にあるような本心は、目の前で見えた

言葉を忘れてから、どれだけの間
叫び続けていただろう 多分誰の耳にも届かないままだった

何も残さず、姿だけを消して、この世界から逃げ出しました
歪んだ目で見た頃は、何もかもが素敵でした 人の心で見た最後の世界


嗚呼なんて甚だしい社会なんでしょう 酷く染められた
見たことのないような安らぎは、時が全て消した

意思を失くしてから、どれだけの間
彷徨い続けてるだろう 多分どの道にも踏み出せなかった

意味もなく意志もなく、このまま消えてしまえたら
神経を失くした手では、何もかも触れられない 雪の中で感じた最後の時


雪にまみれて、夜にまぎれて、温もりが凍えてる
途切れた記憶を辿って、何も掴めない手が探り出して、
かじかんだ手では取り戻せない 知らない
この道の先へ行けたら、歩いて逝けたら、
何も触れない手でこの首を握り締めた―――――――――――――――

こんな世界には、二度と帰らない


何も残らず、形だけを消して、闇の奥で葬られました
歪んだ目で見た頃は、何もかもが素敵でした 人の心でいた最期の世界



<通り雨の季節>

行き違う人々の足音がうるさく、
街中は騒音の波に呑まれた
普通が解らない機械の様な人々は
全てが歪んだ奇怪な憂鬱の中

例えば僕が足音を立てられず、
街中で人々の波に呑まれたら
平然で不自然な機械の様な人々は
歪んだ目で僕を見捨ててゆくだろう

ぎこちなく笑えば相手の腹を疑って
弱気な肩で歩けば相手に助けを求めて
過ぎ去って行った先には何が見える
枯れ果てた心で笑って、
荒れ果てた心で泣いて、
何も残せませんでした

足音と雨音が響き渡る通り雨の季節
僕は今日も濡れなかった


例えば僕が足跡を残せぬまま、
街中の人波から静かに消えても
僕を知らない赤の他人の様な人々は
今までと変わらず、足音に埋もれたまま

不自然に笑えば相手の顔が恐くて
不器用な足で倒れても誰かを頼れずに
未だ来ない日々の後には何が残せる
過ぎ去った日々を悔やんで、
消え去った後も悩んで、
永遠に苦しかったんです

足跡を雨音が掻き消した通り雨の季節
僕は今日も生きてなかった


雨はやがて通り過ぎた


足音と共に流れ行く通り雨の季節
僕は今日も街に落ちるだろう



(MC)

魔導:本日は寒い中わざわざお越し頂きありがとう御座居ますよホント。
田螺:プレッシャーになるから帰ってもらいたいのにね!ホント!
二人:じゃあアンタ帰ればいいじゃん!
田螺:もう、二人共そんなにピリピリしちゃってさー。
鹿賀:・・・さ、サクサク行きますか。続けてどうぞ!



<轍>

踏み慣れた道は今でも、車輪の跡が消えない
時が止まった微かな安らぎ
忘れられた雑草が伸びる、陽の当たる坂道
終わりを知らない、永遠の安らぎ
そんな日々がずっと続けばいいのに、いいのに、いいのに

僕の顔はアザだらけ 傷跡隠しきれなかった
引きずる、遠い遠い過去
薄汚れた靴で歩いた 懐かしい、一人で泣きながら
「僕は弱い人間、、、なんだ」と分かった


歩き慣れた道を辿って、見たこともない遠い地へ
果てが見えてこない、永遠の眠り
そんなどうでもいい日々がただ嫌いで、嫌いで、嫌いで



<発狂病>

何でもない昼下がり、狂騒の中
いつもと変わらぬ日々を、いつもと同じ場所を、普通の人が眠りを知らず

何かが狂った昼下がり、虚無の中
いつもと変わらぬ日々を、いつもと同じ場所で、狂い果てた僕が病んでいく

何で普通で居られない?
何で周りが見えない?
闇に閉ざされたままこの部屋は時が止まっている

僕は僕が普通で、僕が笑っていた日々は、青空を見上げていた
何処までも広く、見えない安らぎに溺れてからは、青空に会えなくなった


何でもない街の群衆、規則の中
いつもと変わらぬ道しか、いつも同じ様に、歩かせてもらえない普通人

何もない闇の沈黙、静寂の中
いつもと変わらぬ道でさえ、いつも同じ様に、歩くことが出来ない空間で

何が変わっていった?
何に病んでいたのかさえ
当たり前過ぎる毎日に気付かないまま寄生していた

狭い蚕の中、僕が眠っていた日々は、青空が大嫌いだった
何時までも永く、消えない苦しみに気付いてからは、青空を夢見ていた

僕は僕が普通で、外を知っていた頃は、何も解らなかった
暗い僕が異常で、外を忘れてしまった今は、何かに病んでいた
何も見えなくて
このまま、独りで、死んでいくしかない・・・?
見知らぬ現実に気付いてももう戻れない、世界が狂ってしまったら
今僕は、治せない発狂病 それでも僕は願う
いつか夢見た青空に辿り着く時を


ドロドロになった記憶の中から、僕は光を見出せませんでした



<歪曲線>

僕を救ってくれるのは、もう誰も居ない
誰も居ないから、僕は僕を見失いそうで恐怖から逃れる
その偽に何が狂う
自分が狂っても他人には何も関係ないでしょう、これはエゴですか?


もしその恐怖から逃れられるのなら
僕は何を頼るだろう
少しずつ消えるあの日の僕、ただの無難な日々の中

もしその快感へ近付けるのなら
僕は薬で治すだろう
癒えていく昔の深い傷は、僕に見えない程腐っていく

否定するなら、僕は何でもなくなる
治ったって、壊れたって、僕は失くなっているんでしょう?

僕を救ってくれたのは、汚れた薬だけでした
望んでもないのに、僕の嫌いな僕自身が恐怖から蘇る
その為に何が狂う
廃になった僕を治す病院をただ吸い込んで、これはミスですか?


社会との摩擦に耐えられなくなったら、
僕は何に病んでいく?
僕を治す病院が僕を冒していく?

そんな僕が描いた太陽は綺麗な歪曲線
病んだ僕の輪郭は歪曲線
「誰も居なくなればいいのに」


僕を救ってくれたのは、腐った薬だけでした
願ってもないのに、僕の嫌いな僕自身が腐ってしまいました
その時に何を思う
正常で異常な僕は何処へ逝った

僕を見捨てていったのは、世に見捨てられた僕でした



<溝>

何も考えず道を歩いていたら
横にある小さな溝に 躓きそうになる

もう日没の道 冷めたアスファルト
影だけが伸びていく ただ無情に

汚れた水が 詰まることなくただ流れる
行き先もなく
汚れた世界 行き詰まり過ぎて息苦しい
立っていられない もう耐えられない
安らぎを与えて


君を思って道を歩いていたら
側にある小さな溝に躓いて転んだ

もう日没の道 醒めた眠気
陰だけが見えている ただの愛情

汚れた水は 詰まることなくただ流れる
汚れた溝を ただ洗い流す様に
汚れた愛は 行き詰って壊れたけど
汚れた愛を またやり直してみないかい
傷なめ合って


行く先を知らない水は ただ 無情に流れる


汚れた溝の中 汚れた水で
汚れた二人の愛と 汚れた心を
洗い流してしまおうよ
二人の溝を 埋めてしまおうよ

暗く狭い排水溝の奥で
愛 確かめ合わないか
傷なめあって 愛の溝埋めないか
この汚れた体を 洗い流して 流して 流して.................................

そして僕を汚して


汚れた水が 音を立ててただ流れてゆく
僕の排水溝から 君の排水溝へ
汚れた過去を洗い流す様に流れ

汚れた水は 止まることを知らずにゆく
その溝に落ちたら もう 戻れない 抜け出せない
汚れた溝の中 何もかもを流しさらって
僕の排水溝から 君の排水溝へ
汚れた水で その汚れた心で その乱れた愛で その乱れた身体で

僕を汚して


汚れた愛の溝を 今から埋めてみないかい?



<Ruin>

静かに風が流れ 空虚埋め尽くす
誰もいない街の片隅

微かに揺れるもの 乱れ咲く雑草の群れ
何もない、そんな毎日が去る

ここに迷い込んだままでいられたら
孤独を忘れ、楽になれそうな気がした

まるで僕みたい 廃れきったRuin
こうやって今日をやり過ごしていく


静かに聴こえてた 風の音吹きぬける
誰もいない街の中を行く

ここは何のためにあった場所
風の棲む街の中 もう荒れ果てていた

まるで僕みたい もう錆びきったRuin
こうやって今も乾いた風が 枯れ木を揺らす


傷ついた身体癒すのは ほんの僅かな薬
何のために歩いてきたのかは分からない
何も残っていないこの掌
何もかもを失ったこの掌
何も手に入れたもの無かったのに

このまま時が流れ続けていたら
きっと僕はいつか楽になれる
このまま 僕の全て失えたなら
全て忘れてしまえる そんな気がした


まるで僕みたい 何もないRuin
荒れ果てた身体 そっと守って
もう何も要らない 風の中でRuin
静かに横たわってみた
もう楽になれるんだ、と 信じてみた

風の棲む街は今も 静かに時を流している


(MC)

魔導:さて、ドドンパ!といわんばかりの勢いで聴いて頂いた訳ですけども。
鹿賀:何かこう、最近の自分を見てる感じがするね。うん。
田螺:ところでさ、新年迎えたんだしさ、何かこう目標みたいなのを掲げてみない?なんか味気ないじゃん。
鹿賀:新年ねえ。うーん。新年ねぇ。
魔導:僕はとりあえず、アレだね。ええ。水槽の一日をそろそろ確立しやがれと。
田螺:何かもう、凄いマジメちゃん丸出しな目標ね。もっと砕けていこうじゃないのよ。
魔導:だってそろそろヤバいでしょうよ。スタイルブラブラ揺れまくりよ?自分らが何なのかが解んないじゃん。
鹿賀:いやアンタのその例えの方が解らんから。
    ・・・まあ僕もそんな感じに考えてるんですけどもね。
田螺:マジメちゃんの集まりかよ此処。「腐った薬」とか「乱れた身体」とか歌ってるのにさあもう!
    それはそれとして、僕はね、今年は過去を捨てる覚悟でやっていこうと思うんですけどもね。
魔導:似たり寄ったりだなウチら!超無個性!
田螺:今の自分らがあんのは過去があるからだけど、いつまでも過去にしがみ付いてたら駄目だと思うわけよ。
鹿賀:ああ、それは解るねなんとなく。
田螺:つうことで、僕は常に流行に流される様な新しい感じでやっていこうと思うの。
魔導:それこそブラブラ揺れまくりスタイルじゃないかよ!
鹿賀:だからその例え解んねぇって!

田螺:・・・さて、それはそれとして。
    今の僕らの名声つったらアレですけど、そんな名声があるのは
    この作品たちがあったからなのかもしれません。
    それでは聴いて頂きましょう。『ALONE』から続けて一気にどうぞ。



<ALONE>

夜明けの街の中 君の残像 探し彷徨った
誰も居ない都会の谷間
もう戻れない日々を知ったばかりだった

無の時がそっと肩を揺らす
時は過ぎ 大人になって真実を知る
彷徨って 見失って 君が嫌いだ

伝えきれない 忘れゆく記憶 そっと抱き締めて

ありふれた言葉で 遠まわしのサヨナラ
君に費やしてきた時間を リセットしたつもりだった
ありふれた言葉も いつしか涙に変わっていく
交したお互いの手が 霞む街に消える
気が付いたときにはもう Time is gone


君は遠く 人混みに溶けて視界から消えた
ざわめきと喧騒の風の中
懐かしさと踏み出せないためらいが 過ぎっていく

想い出も蜃気楼も 何もかもが幻 認めたくない

ありふれた言葉で ずっと切り出せなかったgood-bye
強がりだけを並べて ひねくれたこの愛情
ありふれた言葉が 僕の心 引き裂いて消えた
通り風に流されていった 君の声も
もう僕には関係無いんだ、と Time goes by


傷を作っては 舐め合って
決して膿む事の無い傷が増えていた
涙の意味も知らない 残っていたのは
癒えない 満たされない
Something hurts hearts
Time is gone by


ありふれた言葉並べて 必死の抵抗のはずだった
霞んだ視界に 現れる事の無い残像

ありふれた言葉じゃ 飾れない想いの塊
重ねてきた過ちも 認められず立ちすくむ
ありふれた言葉も いつしか涙に変わっていく
交したお互いの手が 朝焼けに消える
独り風に吹かれたまま Going by alone



<裏道>

君と歩いた道は、今
残ってるかな
もう忘れただろうか
あの日々 あの時

あの場所で、あの声に
振り向いてみた
まだ覚えていたみたい
君の声

あの時

まだ夢も見ていられたはずだった
空見上げられていた
今 夢さえも見失って
君 見つからなくなった
どれだけ失えば気が済むんだろう

今 僕はこの裏道で一人
小さな空、見上げているよ
君の残像 探していたら
ここに迷い込んだ もう君は幻


君のこと、僕はずっと
覚えてるかな
二人 笑っていた
あの日々

あの頃

もう思い出でしかないんだと
時はもう過ぎたと
今 振り向いてばかり
前 見つめられなくなった
小さな一歩を踏み出せずにいる

今 僕はこの裏道で一人
狭い空、見上げているよ
君の逆光 辿っていたら
ここに迷い込んだ

今 僕はこの裏道で一人
小さな空、見上げていたよ
僕の理想 追い求めていたら
何もかも失った もう君も幻


今 僕はこの裏道で一人
君のこと、忘れようとしているよ
思い出でさえ 痛みでしかない
ここに迷い込んだ そんな今は

この裏道で一人
君のこと、忘れられずにいるよ
君の残像 もうないけど
いつまでも 消えぬ幻



<lamp>

「ここはどこだ」 自然と声に現れる
自分の道を失った迷い人 ぼやく 叫ぶ

「誰でも失うものは必ずある」と
君は格好付けたこと 自信無さげに語ってた

辿り着く先が前人未踏の 暗闇の中だったとしても
決して遅い道程じゃない 無駄な日々じゃない
何か糧になるはず そう信じないとやる気出ない?

灯りに頼りすぎてた 自らの道を選べない
今もまだ幾千にも伸び続ける 真っ黒な道

まだ己の愚かさに気付かなかった 気付けなかったのかもしれない


「探し物は何ですか」誰かがこう言っていた
誰にも分からない物が 唯一の探し物

「これが望んでいた現実じゃない」
贅沢を言っていられる程の余裕なんて 誰にも無い

迷った今だけが 僕らにに与えられた現状
逃れようなんてできない 結局誰も裏切ることできない
逃げ道も塞がれた 記憶から即座に消された あぁ

灯りを失ったのなら 僕らはどうするのだろう
このまま立ち尽くすだけが 一番簡単な事

灯りが照らす道筋が今 最後の命綱、頼り
これ程大切なんだって事 ここにいなかったのなら

この先ずっと気付けなかっただろう 気付こうとしないだけかもしれない


もう駄目みたい だんだんと見えなくなってきた
ゴメン もしかしたら何かを失うかもしれない 失わせるかもしれない


灯りに頼りすぎてる それは今も変わらない
結局は終わる道筋 でも真っ直ぐ道を辿ってる

灯りを片手に持った そろそろ暗さに慣れてきた
それでも何かが少しずつ 薄れ始めてる気がした

灯りと共に消えかける 僕の何かが分かった
ゴメン 失わせるかもしれない 僕はきっと失うのだろう

そして失った命のランプ 共に消えて失くなった灯り ランプ



(MC)

鹿賀:いやあ、この頃はまだ丸かったのね。
田螺:今がどんだけ変わったのかが手に取る様に解る。
魔導:如何なんですかね、皆様の目には僕らが如何映っているのか。
田螺:結構態度デカくなっちゃってるけど、根はだいぶ小心者なんですのよ僕ら。
鹿賀:誰のせいだか、その態度のデカさ。
田螺:・・・そんな最近のスタンスが一気に晒されていくことでしょう。それでは、続けてどうぞ!



<影絵デザイン>

誰かの影を切り取ってみましょう
貼り付ける前に消してしまいましょう
生きる全ての者が不要だとしたなら
影だって命だって、要らないんでしょう?

切り裂いて仕舞え、生かしてあげましょう


閑散とした街並で淡々と伸びる夕日
赤い色に滲んだ 普通の目で見た瞬間

騒々しい街並で昏々と彷徨う身体
陽の色に滲んだ 異常な心で感じた時間

街の声 うざったい

誰かの影を切り取ってみましょう
貼り付ける前に消してしまいましょう
生きる全ての者が不要だとしたなら
影だって命だって、要らないんでしょう?


影残して姿消して切り裂いて仕舞いましょう、そして舞いましょう



<ギロチンフェスティバル>

信じることは愚かだと教えてくれた
そう云って消えていった
皆僕に同じ言葉を吹っ掛けながら
素敵な嘲笑いを残してくれました

僕って、そんなに、単純?

見えない場所で笑って
目の前で人格作って
そんな作られた人に僕は
長い間騙されていたってことですか?
捻じ曲がった可哀想な人ですね

君は僕を斬りました
飛び散る涙を見たかったのでしょう
心に刻まれた切断痕に残されていたのは
君に対する憎悪しかありませんでした
君は僕を切りました
全部忘れてしまいたかったのに
記憶に残った裏切りに縛られ続けて
信じるトラウマに冒されたんです


ギロチンフェスティバルは終わらない



<インキーライフ>

ほらまた憂鬱な日の始まりだ どうせ何も変わらない
過去が影と重なって陰になって もうどうしようもない
やりたいことばかりやり続けていたら、過去が消せなくなった
計画性はお大事ね 紙に染みたインクみたいね
インキーライフ

同じ失敗ばかり残っていた 足跡だらけの黒い道


ほら来た憂鬱な時間の波が どうせ耐えられるはずない
野暮な抵抗して砕けたって もう何もできない
消せない過去ばかり引き摺っていたら、陰しか見えなくなった
前向きだとかおカンムリね 何をしても消えないみたいね
陰気ーライフ


こんな日々が素敵でした 何も知らなければもっと素敵でした
記憶さえ消せたら、過去さえ消せたら、存在消せたら、
トラウマに支配された体は今も、腐敗していきます
インクの匂い
腐敗臭、病み付き、快楽――――――――――

光を忘れたヒッキーライフ
イラナイ物切り捨てて、
開きーライフ 直りーライフ
好きに生きられないし、
思いーライフ 通りーライフ

記憶が記録されていったら いつか全て爆発してくれたら
現実なんておサラバね 紙なんて破き燃やしてね
過去なんておサラバね インク切れでお気の毒ね

インキーライフ



<快楽実験>

今から実験を始めます
この実験室を、血で染めましょう

手首と刃を用意して下さい
手首に刃を当てたら 始まり、始まり
快楽実験の始まり
・・・本当の快楽って何なんですか?

乗せた刃先 もしかして怖いですか?
快楽実験に失敗などありません
どんな痛みも苦しみも全て 快感に変えてしまうのです

嗚呼 神様、私を生かすのなら 神経の全てを取り除いて下さい


暗い部屋の中でただ一人
暗い密室でただただ虚しく高笑い
快楽実験始めます
・・・こんなに 笑ったの 初めて・・・

滴る血 気絶しそうなんですか?
快楽実験に抵抗など要りません


始めましょう、さあ
カットインの瞬間 夫婦初の共同作業です
この実験室を、赤く染めましょう

嗚呼 神様、私を殺すのなら 過去の過ちを忘れさせて下さい


サク


無意識で傷つけて
快感のために傷ついて
一瞬の憂鬱でさえ
全て壊してしまいたい

「これが望んでいた感覚―――――――――――?」

ねえ もっともっと!もっともっと!
赤い遊びを見せてよ!
こんな子供の僕にもっと!もっと!
赤く赤く遊んでよ!
アイデンティティ取り戻させて下さい
アイデンティティ取り除かせて下さい
アイデンティティ取り払わせて下さい
アイデンティティ僕のアイデンティティ、

アイデンティティが全てを壊す?

この抜け殻の僕を、誰も誉めてくれない―――――――――――。
これだけの根性を、誰も認めてくれない―――――――――――。

みんなで仲良く手を繋いで遊ぼう?
ナイフ片手に仲良く遊ぼう!
血祭り血花火、ホラ、楽しそうじゃない!

「全て消えてしまえばいいじゃん!切断実験で断絶生命!」


嗚呼 神様、私を許すのなら 生まれ落ちた罪をお裁き下さい


飛び散る、この血しぶきはまだ
生きている証拠なのですか
飛び血る、この血しぶきはまだ
生きている証拠なのですね
神は私を生かしたのですね


快楽実験、成功です



(MC)

鹿賀:・・・ああ、割と最近無理してんだね僕ら。
魔導:極論だけど、今の流れでだいぶ雰囲気変わった気がする。
田螺:ね。だってもう既に過去捨ててる感が出てるしね。
鹿賀:・・・さて、そんな空気は取っ払ってどんどん行きましょう!そろそろ終焉が近付いて参りました!



<mirage hand>

この手から君が離れたら 一瞬で消えていった
ねぇ 姿見せておくれよ 言葉にならないまま 消えていった

君の残像は 一瞬で 僕を 変えた はず
君の残像が 一瞬で 形を 変えた

蜃気楼の見えないこの場所 風も時も僕を避けて通り過ぎる
一瞬の儚さに佇む僕は 何を見失った
現実の見えないこの時間 風が時を切り裂いて通り過ぎる
一瞬の虚しさに 僕は ただ嘆くだけだった


この手から君が離れて 静かに振り返ってみた
ねぇ 見失わせないでよ 何も残らないまま 立ち止まった

君の残像は 一瞬の 時に 消えた



<ブルートレイン>

静かな夜、肌寒い風が吹き抜ける部屋
気怠いまま動けない 僕はずっと眠っていたいから

考えすぎて抜け出せなくなる、解っているつもりでいつも
安らぎを探そうとして遠ざかる、全て苦痛になる

夢に見た遠い場所まで僕の意識を飛ばして
せめて引きずってきた過去を忘れさせて欲しい
憂鬱に落ちたこの心は今も沈んでゆく
ブルートレイン 今はまだ眠りの深くにいたい


騒がしい夜、降りしきる雨が耳に響く部屋
僕はまだ気怠い 外の世界には安らぎがある?

疑いすぎて壁を作ってしまう、気付かぬ間にいつも
記憶が残していった傷跡、僕は何が出来る

見たことのない遠い夢まで僕の記憶を消し去って
雨上がりの眩しい空でさえも忘れてしまっていた
憂鬱さが付きまとってまだ抜け出せずに
Blue と Rain ずっと僕を眠らせておいて、このまま


今日も憂鬱は走り出す



<水面花>

僕と君との間に少し...
小さな躊躇い

僕と君との間に少しでも
永遠の誓いが
存在してるのでしょうか


飛び込んだ河の中ふたり
永く永く、ずっと側で話したい
いつかふたり命を忘れて
水面下 共に眠る
水面下 ふたり花を咲かせよう
何時までも永く、枯れることのない様な...

命の花

水面下に咲く花 ふたり
深く深く、沈んでしまった身体は
いつかきっと記憶と共に
時の中、ただ腐っていくのでしょう
何時までも永く 安らかな時を刻む眠りの様に

心の中に咲いてた花
ふたりが選んだ心中の先に咲いた

僕らの水面花



<ホシ>

ただ
再会の刻へ迫ってゆく時間は
記憶から消えるでしょう

星の輝きを眺め思い出を探していた
ただ脆い日々を 忘れゆく想いに重ねるだけ
空を見上げれば それは虚しさで満たされて
君の形さえ見失う


届かぬ声は 夜に落ちて
消えてゆく運命に支配されて
嗚呼 愛しさの意味を教えてください、と
心の中でただ繰り返していた 君を失くしてから

今空を舞う星になる


君の光に近づいて、薄れる記憶感じた
取り戻せない姿 追いかけてた、蜃気楼の様に
空に光る小さな星 君の側で寄り添っていたい
離れていた時間を埋めよう

空に光る小さな姿 君の側で寄り添っていられる
彷徨う魂の再会だから


ずっと、ここにいよう
ずっと、ここにいよう
最期はもう過去の話だから



<冬の日>

乾いた風に吹かれながら僕は家路を急ぐ
気の抜けた身体は風の後押しを
待ってるだけで、もう歩けなくなって

停電した正夢を見た
これ以上、失うのは怖いんだ
僕に残された無機物たちは全て火葬してしまおう

色褪せた街並みと 滲む僕の景色
意味も無く流す涙があるなら
枯れるまで全て流してしまって、
悲しみからずっと逃げていたいんだ

あの日の様に笑えない 上の空の僕
無理になってすぐ立ち止まり、背後をただ眺めていた
過ぎ去った思い出が
全て傷跡に変わり
刻んだ左手には何も残らなかった冬の日


追い掛けていても辿り着けない
僕に見せた温もりは建前?
残された日々は無意味だから全て見送る方がいい

青ざめた黄昏と 霞む意識の中
歩き続けてる、記憶に無い道を
気付けばボロボロになってしまった、
思い出からずっと目を逸らしたんだ

かじかんだ両手で握り締めた幻
影になって消えていった 夕暮れにただ伸びていた
捨てられない思い出が
僕の中で腐っても
きっと僕は気付かぬまま、眠りに沈む冬の火


現実からずっと逃げていたいんだ


寒い日見た雪の道 もう埋もれた足跡
無理になってすぐ立ち止まり、この先をただ眺めていた
消え去った思い出が
温もりに変わるなら
空見上げて笑っていたい、あの日を思う冬の日



<枯葉散る>

歩道の上で影が埋め尽くされる
時は夕闇 巡る足は止まらず
こんな黄昏、見ていられない
空虚な心で感じても、何も見えないけれど

あの日、見てた今は皆が笑っていた
時は僕にだけデジャヴを見せてくれない あぁ

それでも無情に枯葉散る
終りを告げる風に委ねて
本当にこのまま終ったなら
望み通りだったんですけどね


長い道のり、影が途切れていく
明日は暗闇 薄く霞む向こうで
どうやらもう既に、消えていたみたい
誰も気付かない事、人混みにまみれている

あの時、見てた今は皆が笑っていた
僕は過去にただしがみ付いてるだけですか?

それでも非情に彼は散る
終りを告げる風にさらわれ
誰の記憶の奥底にも
彼の姿は生きていない


ずっと永遠に枯葉散る
虚しい喧騒を掻き消して
このまま昇りきれなかった魂
彼は共に腐っていく

全て望み通りだったんですけどね



<オカエリナサイ>

夜明け前
鈍いアスファルトに足跡残した
いつもと変わらぬ日に、いつもと変わらぬ道に
閉ざされた僕の玄関の向こうで、
「遅かったね。」 写真の君が手を振っている

何の変哲の無いただの平和な二人だと信じていた

夜明け前
狭いアパートから街を眺めた
いつもと変わらぬ目で、いつもと変わらぬ顔で
静まった僕の記憶の片隅で
「遅かったね。」 遠くで君が僕を笑っている

何もかも全てただの無情な愛情でしかなかった?

そのままで
いてくれたら――――――――

君を追いかける勇気が無いから、僕はただ今を生かされている
忘れなければならないことだってあるんです
全て、僕が弱いからなんです
君が風になっていったあの日から、僕の部屋が少し広くなった
認めなければならないことだってあるんです
全て、僕のワガママなんです

だけど それが現実だから


夜更け前
狭い部屋で眠りに落ちた
いつもと変わらぬ体、いつもと変わらぬ心
疲れることを忘れた僕に
「おやすみなさい。」 目の前に君が浮かんでくる

こんな生き方しか出来ないなら何の意味も無い?

この場所に
いてくれたら――――――――

僕を置いていった君がいないから、僕はただ虚しさに溺れている
離れなければならないことだってあるんです
全て、君がいたからなんです
僕が君に依存しているこの場所から、僕の明日は見えるだろうか
手放さなければならないことだってあるんです
全て、君の抜け殻なんです

「だから もう帰りたくない。」


気が付けば毎日、そんなこと呟きながら
今日も君のこと忘れようとしていた
冷たい風に吹かれて家路を急いだら
僕の息切れが街に響いた

そして今日も待っていたんだ
君の言葉、僕の中で繰り返した

「おかえりなさい。」


(MC)

魔導:さてさて、長い間に渡りお付き合い頂きありがとう御座いました!
鹿賀:早くも最後の一曲です!皆さんお疲れ様でした!
田螺:またいつか何処かでお会いしましょう!



<Stereotypes of mine>


僕はどんな眼で君を見る
君はどんな眼で僕を見る

例えば 今までに失った数え切れない程の物や者を
この手に取り戻せるなら
それぞれの求める通りに 全部戻ってくるかな、分からないけど
それが本当にいいことかな

この自由過ぎる世界で落としてきた大切なものを
どうすれば拾い集められるのか
やり過ごせないのが必然なんだね ほら、また一つ何かを落とした

まっすぐ見つめられなかったのは、固定観念が邪魔してたから
見えない壁が僕の前を遮る

だけど
ずっとここに立ち止まっていたのは
それを受け入れる術、知らないから
何が正しいのだろう、そんなことがため息になる


例えば 目の前の壁を君が越えられるなら
その先には何が見える
それぞれの作り上げる世界が全部輝くかな 分からないけど
それが本当の理想なのかな

この恵まれた世界に残してきた大切なものを
どうすれば思い出せるのか
そんな今、また一つ忘れていった それが必然なのかな

まっすぐ歩けなかったのは、僕に邪心があったから
闇が近づくように感じた

誰も
完璧でないと知ったのは
誰もが諦めることを知ってるから
人間ってこんな風に生きるんだと、少し呆れた

何も正しくないと知ったのは
幾つもの分かれ道 見つけたから
何度も迷って人は強くなるのかな、そう思った


まっすぐ見つめられないのは、固定観念が邪魔してたから...
まっすぐ歩けなかったのは、僕に邪心があったから...
まっすぐ生きられないのは、僕がずっと迷っているから...
まっすぐ見つめられないのは、固定観念に邪魔されたから...


ずっと立ち止まらなかったのは
それを受け入れていく術を知ったから
想像された世界を僕は知らない、何があるのかな

そんな世界がどこにも無いと知ったのは
僕がその世界を知ってしまったから
創造された世界を僕は知らない、何があるのかな


君はどんな眼で僕を見る
僕はどんな眼で君を見る



(暗転)






アンコール!
アンコール!
アンコール!
アンコール!
アンコール――――――――――――――――!!



(暗転のままメンバー登場)






<太陽>

ねぇ 照らしておくれよ 渇いた大地
ねぇ 探しておくれよ 僕の目的地

ねぇ 教えておくれよ ここにいる意味
ねぇ ずっとそこにいてよ 寂しくてたまらない

歩き疲れたんだ
終わらない道
もう疲れたんだ
何も変わらない日々、変えようとしないだけ

太陽はずっとそこにある気がした
たった一つ ずっと僕の傍にいてくれる
その光がある限り ずっと迷わない気がしたんだ
“どうして 生きてゆくの?”
そう問いかけた 返事がなかった


ねぇ 忘れさせておくれよ 過去の全て
ねぇ ずっと沈まないでよ 虚しくてやるせない

逃げ出したんだ
キリがない苦痛
もう逃げるんだ
何の意味も知らない、知りたくないだけ

太陽はいつか 見えなくなる気がした
突然恐くて 目を閉じて止まった
その光があっても 何も見えない気がしたんだ
“どうして 意味をもつの?”
答えを誰も知らない


照らされ
探して
訊いて
願って
疲れたんだ

忘れたら
そこにいて
逃げたんだ

彷徨う道に果てがあるなら 太陽 その先を教えて下さい

ねぇ 探しておくれよ 失った記憶
ねぇ 教えておくれよ 生きる意味
全ての意味 僕の居場所 辿り着く場所


太陽はずっと そこにいてはくれなかった
ここから見えない ずっと遠く沈んでいった
その光失ったら もう歩いていけなくなったんだ
“僕は 何を頼りにするの?”
“僕は 何を探してゆくの?”
そう問いかけた 声が闇に消えた

失うことに意味があるなら 神様 その意味を教えて下さい



(明転)



<空>

いつも陰に隠れながら、人目を避けて遊んでいた
ゴミだらけ 死骸だらけ 大人は誰も心配しないの
陽が差さない僕の居場所 誰かの足跡が途切れている
こんな場所で大人になるのが全て正しいと思っていた

「幸せ」という言葉が、曖昧すぎて
歪んだ「幸せ」も全て間違いじゃないと思っていた
遊び疲れた

ある日、見上げた空がとてもキレイで
ゴミの山 うずくまって 流れる雲を見た
汚れた場所で 汚れた子供が 見る空も
こんなに青いのか、と 初めて世界を知った


ずっと日影に隠れて、瞳開けて眠っていた
ゴミだらけ 死骸だらけ 大人は皆目もくれないの
時が止まった僕の居場所 何も動かず固まっている
こんな場所で大人になれず、全て失うと知っていた

「幸せ」という言葉は、夢のまた夢で
上辺の「幸せ」は一瞬で消えてゆくと思っていた
何も知らない

ある日、見上げた空がとても素敵で
ゴミの中 埋もれながら 霞む景色を見た
汚れた場所で 汚れた心で 見た空も
こんなに澄んでいたよ、と そして瞳閉じて眠る


「僕が死んだ後も、空は青いままでいてくれるかな?」

いつも陰に隠れながら、人目を避けて遊んでいた
遊び疲れて見上げた空が 一番の「幸せ」


あの日、見上げた空がとてもステキで
ゴミの中 うずくまって 見ていた最後の瞬間
汚れた場所から 汚れた魂が 昇ってゆく
青い空を汚さないかな? 汚したくないのに


このまま、ずっとずっと、青いままでいてくれるかな?



(MC)

魔導:それでは、これで本当に最後です!
鹿賀:この作品が無ければ、今の僕らは絶対に存在していなかったことでしょう。
田螺:本日は皆様、お越し頂きありがとう御座いました。それではお聴き下さい!

    水槽の一日で、「スピア」



<スピア>

「君は誰だい?」 見知らぬ姿に尋ねてみる
擦り剥けた服に、ボロボロの身体
それでも奴は強く映った 一本の長い槍片手に
この時代を生き抜いた証を、奴は誇らしげに掲げていた

「歩いてきた道程は決して無駄じゃない」って
此処に迷い込んだ僕にそう云った

奴の心は固い物で、この道真っ直ぐ歩んできた
それが生きた証 迷いも無いまま
奴は誇らしげに笑った 笑う声が響いていた
先が光る槍と共に


奴は僕に、何か話し掛けてきた
言葉にならない、通じない意思
傷だらけになった布服に 一つの輝かしい姿
この時代を生き抜いた姿を、僕に誇らしげに掲げていた

無難な日々に慣れてしまった僕自身には
傍らで笑う奴の姿が大きく映った

この道の果てに何が見える? 住み慣れた奴も知らない
好奇心が心の 壁を越えた瞬間に
僕は思い切り走り出した 止めてきた奴の声でさえ
振り切った 目の前に光が見えてきたから


僕の鼓動は速さを増していた


崖の真ん中に、横たわって、眼を閉じて眠っている
滲むのは血の涙?傷だらけの戦士
僕を、止めようとして、落ちたのだろう
見下ろしてやることしか出来ないけれど、
側に寄り添うことすら出来ないけれど、
こんなどうしようもない僕を守ろうと――――――――――?

もう、その勇姿を見せてはくれない?

−ゴメン、ありがとう−


この二人を見て神はきっと、見下して嘲笑うだろう
何も出来ない、僕の目の前で奴は眠る
二人は同時に何か失った もう枯れてしまったんだ、と
二人は同時に同じ物を失った


屍の横に輝く槍は、誇らしげに輝いた
そう、僕が出会ったのは何よりも強い戦士だったから






田螺:センキュー!フーフー!



------------------------------------------------------------------------------------------------

『水槽の一日新春ワンマンライブ −水槽の一年−』
01. アイデンティティ
02. 空で笑ってる
03. 放浪記
04. 通り雨の季節
05. メドレー
   轍
   発狂病
   歪曲線
06. 溝
07. Ruin
08. ALONE
09. 裏道
10. lamp
11. メドレー
   影絵デザイン
   ギロチンフェスティバル
   インキーライフ
12. 快楽実験
13. メドレー
   mirage hand
   ブルートレイン
   水面花
   ホシ
14. 冬の日
15. 枯葉散る
16. オカエリナサイ
17. Stereotypes of mine

−ENCORE−

01. 太陽
02. 空
03. スピア −Revival arr.−


 ※メドレーに使った作品は、原作より一部除いて掲載しています。※