【寸劇】

石田:俺の所為じゃない。
山神:いや、お前の所為だ。
石田:何でだ。
山神:お前は、アイツの、親友だった。そうだろ。
石田:だからって、何で俺の所為に成るんだ。俺の所為じゃない。
山神:いや、お前の所為だ。
石田:何でだ。
山神:お前は、アイツの、親友であり、良き理解者だった。そうだろ。
石田:ああ、だからって、何で俺の所為に成るんだ。俺の所為じゃない。
山神:いや、お前の所為だ。
石田:何でだ。
山神:お前は、アイツの、親友であり、良き理解者である、フリをしていた。そうだろ。
石田:違う!
山神:違わない!お前の所為だ!
石田:違う!俺の所為じゃない!
山神:違わない!お前の所為だ!
石田:違う!俺の所為じゃない!
山神:違わない!お前の所為だ!
石田:違う!俺の所為……………………。
山神:…何だよ。
石田:俺の所為……………?
山神:何だよ。
石田:俺の所為…なのか?
山神:ああ、そうだよ。お前の所為だ。
石田:俺の所為なのか?
山神:そうとも。そもそもお前さえ居なければ、こんな事にはならなかった。
石田:本当か…?
山神:本当だとも。お前さえ居なければ。
石田:俺さえ居なければ…。
山神:お前さえ居なければ。
石田:俺さえ居なければ……アイツは死ななかったのか?
山神:そうとも。お前さえ、居なければ。
石田:俺さえ居なければ……アイツは死ななかった。
山神:お前さえ、居なければ。
石田:俺さえ、居なければ。
山神:お前さえ居なければ。
石田:俺さえ居なければ。
山神:お前さえ居なければ!
石田:俺さえ居なければ!
山神:お前さえ居なければ!
石田:俺が……………………………………………………死ねば。







【屋上】

独りぼっちの屋上は、夏でも寒くて、
寧ろ「冬である。」と言いたげな風。
白い息の代わりに出た溜め息が、
強過ぎて。

頭到、震えが止まらなく成った僕と、
冷や汗。其れを靴は見て居た。
全部押し殺した僕を包んだ空が、
青過ぎて。

「ひょっとして、怖いのかい?」
「解からない自分が。」
「そして、解かろうとしない自分が。」
「怖いのかい?」



独りぼっちの屋上だ。紛れも無い事実。
其れに、こんなに綺麗な青空だ。
でも其の色は、僕には何うしても、
強過ぎだ。

「解かったぞ。怖いんだろう。」
「解からないふりが。」
「そして、前迄の解かったふりが。」
「怖いんだろう。」

残された僕は今に潰されてしまいそう。
何に?空に?風に?君に?
誰の所為かは解かってる。
流されて消えて行く予定の溜め息は、
全ての血までも洗って呉れるなら、良いのに。

でも事実。
僕の所為。
ただ、寒いだけの、

屋上。















【MC】

石田:いえーい。
山神:きゃーきゃー。カッコイイー。
石田:いきなり訳の解らない寸劇が飛び出しましたけれども、今回は水槽の一日さんとのツーマンという事で。
山神:貞操!
石田:ね。僕らなんかが水槽さん達とやっちゃって良いのかなんて思ったりして居る訳で御座居まして。
山神:貞操!
石田:あ、今日は会場限定配布デモテープ用意して居りますので、持ち帰ったりしちゃって下さいませー。
山神:貞操!
石田:あ、要らない。そうですか。僕らも要らないんですよ此れ。
山神:貞操!
石田:でも、あの、此れー…2種類も有るんですよね。嗚呼ー、深夜のテンションで作り過ぎちゃったなぁ。
山神:貞操!
石田:えーっと、まぁいいや。では此の、今回の配布デモテープから2曲程続けて。えーい。
山神:貞操!







【ヒトリキリ。】

一。
僕は四面体の中
ずっと独りきり
君は四面体の中
もっと独りきり

1 僕 1 君 1 僕 1 君
1 僕 1 君 1 僕 1 閉じこまった

一。
僕は四面体の中
ずっとそのままで
君は四面体の中
もっとそのままで

1 僕 1 君 1 僕 1 君
1 僕 1 君 1 僕 1 そのまま出会って

僕のこと君は好き
君のこと僕は好き
僕らは君らを好きで
僕のこと君は好き
君のこと僕は好き
君らは僕らを好きだ



離れない



一。
僕ら集合体の中
ずっと二人きり
君ら集合体の中
ずっとそのままで

1 僕 1 君
1 僕 1 君
1 僕 1 君
1 僕 1 そのままが良い

僕のこと君は好き
君のこと僕は好き
僕らは君らを好きで
僕のこと君は好き
君のこと僕は好き
君らは僕らを好き



だったのに



僕のこと忘れてよ
僕のこと忘れてよ
君のこと忘れるから
君のこと忘れるよ
君のこと忘れるよ
僕のこと忘れてよね

君のこと忘れたよ

君のこと忘れたよ

僕は

僕を

忘れちゃったよ





1 僕 1 君
1 僕 1 君
1 僕 1 君
1 僕 1 君

1 1 1 1
1 1 1 1
1 1 1 1
1 1 1 









【恋愛ノイローゼ】

君に良く似た景色の夢を見ました。
青くて、青くて、青い空。
たった一本の飛行機雲が、全てを切り裂いてしまいました。

不意に怖く成って、悲しく成って、目を開いてみて、先ず見えました、
君が呉れたセンスの無いマグカップ、床に叩きつけて割りました。

「息を、荒げて。」

君を思い出すとイライラして来ます。
無性にハラワタが煮えくり返ります。
でもそれはきっと自分自身に対しての情けなさを思っての怒りなのでしょう。
解っては居るけれど止められないのです。
君を思うと込み上げる嗚咽と涙。
其れが君の為の涙か如何かは、良く解らないのですが―――――。

出会わなければ良かった。
涙しか残らないのなら。



街の明かりが霞んで見えます。
ぼんやりとした僕に同化します。
突然聴こえた踏切の音に、目眩を感じてヒザをつきます。

ふと気がつくと、平穏だった、「君と」が終わった、あの日に重なって、
乾いたアスファルトに、ポタリと冷たい弱音を零しました。

「胸を、押さえた。」

君を思うと切なく成って来ます。
心痛むと言いますか何と言いますか。
もう終わってしまったあの日の君に対しての恋心を今更―――?
情けなさ過ぎる感情などは要りません。
街の明かりの弱さに負けてしまって居た、
僕を何処かに隠してしまいたいのですが、其れがまるで出来なくて―――――。

出会わなければ良かった。
涙しか残らないのなら。



あの日のことが忘れられず、何うしても込み上げる涙。
思えばあの日が、僕の病気を作り上げてしまったんですね。

君が告げた「さよなら」による後遺症。
何を見ても君を思ってしまう病。
君との恋が僕にもたらしたのは、恋愛ノイローゼ。

いつまで背負えば良いのだろう―――。
でっちあげの君への憎悪、割れたマグカップを。
情けない僕への嫌悪、濡れたアスファルトを。



出会わなければ良かった。




【MC】

岩垣:新メンバーの岩垣です。
村内:新メンバーの村内です。
岩垣:新メンバーと言ってもアレですけどね、架空ですけどね。
村内:言うなよ。言うなよ。
岩垣:作詞形式は大抵が歌謡曲とかそう言うレトロ的なそれにインスパイアされた物をやって居ります。
   そう言う様なね、僕ら架空の存在にも作詞特徴みたいなのが有るって訳でして。そんな捻くれた考えを持ってるんですねウチのテライは。
   結構適当なくせにね。
村内:言うなよ。言うなよ。撤回しなよ。
岩垣:じゃぁ、えっと、あんまり待たせると水槽さん見に来て下さった人達に悪いので、ぱぱっとね。
   やっつけでね。
村内:そう言うのマジやめなよ、最低だよ本当に。
岩垣:では、此処から少し、言いたい事を言わせていただくよ!
村内:もう結構問題発言してるよー。やめろよマジでー。







【無駄カルテ】

最近どうです?
暖房の風が突き刺さる、とか。
電気の光が目に入る、とか。
そう言う痛みは見られませんか?

痛みを痛みと思えないのなら、きっと麻痺して居るのでしょう。

具合はどうです?
恋を夢見て詩人に成る、とか。
やたらと病んだ歌人に成る、とか。
そう言う奇行は見られませんか?

奇行を奇行と思えないのなら、脳も死際なのでしょう。

何処かで拾った恋を集めて、
自分の気持ちを作り上げ、
幸せな空気独り占め。
無駄な事だと解かって居るのに。
それとも解かって居ないのだろうか。
今でも君の頭の中には、
超特急とか時計とか、
雪や心や思い出が―――?



無意味の羅列が有るんだね。
それはそう言う病気なんだよ。
諦めるしか他は無い。
どうでも良いよね。
はい、次の方。



気分はどうです?
自分に対して寒気がする、とか。
鏡を見付けて吐気がする、とか。
そう言う気持ちは全く、有りません?

気持ちを気持ちと思えないのなら、誠のキチガイなのでしょう。

何処かで拾った文句を歌って、
自分の気持ちに仕立て上げ、
敬意は最早狂気にと、
変わって居る事、気付いて居るのに。
それとも気付いて居ないのだろうか。
今でも君の頭の中には、
夜とか烏の鳴き声とか、
影や朧や運命が―――?

何処かで作った言葉を読み上げ、
自分の体は何処かに隠し、
君だけに見える安息の地へ。
無意味で無駄で、変わる事は無い。
それに気付かない事が病気。
今でも君の頭の中には、
アレとかアレとかアレレとか、
アレレアレレレアレアレレ―――――?





お薬、出しときます。






【冷蔵庫で。】

モノクロの交差点を急ぎすぎて、
いつも、社会は怪我を負う。
誠実な言葉に頼りすぎて、
いつも、社会は、そのまま、留まる。

淡々とした脆い道。
そこを歩けば未来は無い。
人工的な電気は有るが、
街を照らす様な光は―――。

扉を開ければいつも、冷気に覆われて。
冷え切った肉の塊が、隙間無く詰まっている。
冷蔵庫の中でいつも、社会は腐ってて。
凍え死んだあの人は、異臭を放っている。

腐ったものは捨てましょう。
肉塊に冷たすぎる空間を。
壊死したのは誰でしょう。
横たわる死体に、霜柱が降りてる。



扉を開ければいつも、冷気が顔を出し、
凍りついた無数の目玉が、浮ついた光を睨んでる。
冷蔵庫の中でいつも、みんなは腐ってて。
それを、ただ傍観する僕は、異臭に気づかない。

腐ったものは捨てましょう。
肉塊に冷たすぎる空間を。
壊死したのは誰でしょう。
あの、横たわる死体は、誰でしょう―――?



冷蔵庫で。
暗く、狭く、
冷えて、凍える、
冷蔵庫で。

僕は、腐って、そのまま、凍って―――――。







【街明り】

都会はいつも通り賑やかで、
僕の事など知る由も無い様で。
急な坂道を転げ落ちそうなスピードで、
駆けて行く自転車に轢かれそうです。

街灯は、今日も僕に「死ね」と囁いて。

気持ちの悪いざわめきと、人の波。
同じ表情をして、固まって居ます。
息遣いが聞こえる様な近い距離で、
感じる空気は、真冬のそれです。

街灯は、今日も僕に「死ね」と五月蠅くて。

嗚呼、
僕はこの街が、
堪らなく、大好きです。
道路や電柱に頭をぶつけて死にたいくらいです。
嗚呼、
僕はこの街が、
堪らなく、快適です。
死に向かう僕には、寒いくらいが丁度良いのです。



夜もこの街は明るく爽やかで、
立ったままの僕を、冷たく包みます。
光にすがる虫の羽音の煩わしさは、
人の波と、同じそれです。

街灯は、その中でにやにや笑って居て。

嗚呼、
今日もこの街は、
堪らなく、退屈です。
何を感じる事も無く、通り過ぎるのです。
嗚呼、
そしてこの街は、
堪らなく、素敵です。
優しい光は、結局、電球の塊に過ぎないのに。



ぽつんと佇む僕の耳に、
不意に聞こえて来た心地の良い歌声は、
昨日と同じ音色に乗せて、
偽りの優しさばかりを、
歌って居て。

素敵に、退屈で、快適で、大好きな、この街に、
素敵に、退屈で、快適で、大好きな、この音色。
素敵に、退屈で、快適で、大好きな、その声は、
素敵に、退屈で、快適で、大好きな、この街に相応しいのでしょう。

嗚呼、
僕はこの街が、
堪らなく、大好きです。
僕を見ようとしない人波が気持ち良いです。
嗚呼、
僕はこの街が、
堪らなく、大好きです。
聳え立つコンクリートの壁が、格好良いですね。
嗚呼、
僕はこの街が、
堪らなく、大好きです。
純愛と言う見世物を広場で見られるし。
嗚呼、
僕はこの街が、
堪らなく、大好きです。
友情と言う映画も、とても面白いです。
嗚呼、
僕はこの街が、
堪らなく、大好きです。
かけられる言葉はマニュアル通りで御上手です。
嗚呼、
僕はこの街が、
堪らなく、大好きです。
嘘が盛り沢山のこれは、何と言う料理ですか?
嗚呼、
僕はこの街が、
堪らなく、大好きです。
今流行りのそのファッションは、いつ飽きられますか?
嗚呼、
僕はこの街が、
堪らなく、大好きです。
何で皆さん、理由も無く笑って居られるのですか?
嗚呼、
僕はこの街が、
堪らなく、大好きです。
僕に出来ない事をやってのけるなんて素敵です。

嗚呼、

僕はこの街が、

堪らなく、大好きです。

ずっとこのままで居て下さいね―――。





街灯は、






































【寸劇】

岩垣:なぁ、聞いて呉れるか。
   俺はさ、此の世は、此の世は無意味過ぎると思うんだ。
村内:先生に話しかける時は敬語で喋りなさい。
岩垣:だって考えてもみろよ。
   世界は、俺が何を言っても聞いちゃ呉れない。
   俺の事なんて知ろうとも思わず、いっつも無意味な事ばかりやってるんだ。
村内:敬語で喋りなさいって言ってんでしょうが。
岩垣:でも、別に俺の事を知って欲しいわけじゃないんだ。
   其れに、世界がやっている事が全部無意味って訳でも無いと思うんだよ。
   だけど、だけどね、先生。此が大事なんだよ。
村内:だから、敬語で喋れって言ってんだろうが此の野郎。
岩垣:一番大事なのはね、俺や、他の人の事を「知ろうとする」事だと思うんだよ。
   人を知ろうとしない、って事は、今迄やってた事を全部無意味にするって訳。
   此の辺が難しいんだけど、先生はどう思う?先生。
村内:とりあえず敬語で喋ろうとしろよ。腹立つわー。
岩垣:おっぱい。
村内:えっ、おっぱい?!
岩垣:だからさ先生。
   俺は此から死にに行くけど、俺はまだ、何も知ってもらってないんだ。
   俺には本当はまだ、何かしたい事がある、だとか。
   俺には本当はまだ、行きたい所がある、だとか。
   ………………………………………………………………………俺は本当は、誰それが好き………、だとか。
村内:岩垣……………。
岩垣:世界には「知ろうとして欲しい」んだ。
   そういう………、俺みたいな人間が居るって事をさ。
村内:岩垣、お前………………先生の事を。
岩垣:違う!




テライ(後)―修正さんの作品
【赤紙】

真赤だね。
真赤だよ。
何に染められた赤さかな。
真赤だね。
真赤だよ。
僕は決められた正義かな。

真赤だね。
真赤だよ。
垂れ落ちるのは蛍かな。
真赤だね。
真赤だよ。
此処は何処への彼処かな。

真赤だね。
真赤だよ。
心が彼女に染みたかな。
真赤だね。
真赤だよ。
ほっぺが御空に落ちたかな。

真赤だね。
真赤だよ。
何に向けての威勢かな。
真赤だね。
真赤だよ。
誰に向けての銃声かな。

真赤だね。
真赤だよ。
君は旋律の一部かな。
真赤だね。
真赤だよ。
僕は戦慄の一部かな。

真赤だね。
真赤だよ。
君は僕とは遠いかな。
真赤だね。
真赤だよ。
遠い御山の向こうかな。

真赤だね。
真赤だよ。
敵わぬ紅潮、何処かな。
真赤だね。
真赤だよ。
滾らぬ血潮は何処かな。

真赤だね。
真赤だよ。
君は彼方で何色だ。
真赤だね。
真赤だよ。
僕は此方で真赤赤。



真赤な電報が報せるのは恋する少年の散った事。







【乱交パーティー】

クンニリングス フェラチオ ペッティング
アナルファック ファック ファック マスターベーション
パイズリ スマタ ブッカケ ガンシャ
セイエキ エクスタシー シックスティナイン

セイジョウイ キジョウイ コウハイイ
ゴウカン リンカン セックスアピール

「ミンナデ マワシテ イイコトシヨウ」

レイプ! レイプ! レイプ!
レイプ! レイプ! レイプ!



ナメマワシテ サワリツヅケテ アイシツヅケテ
ムリヤリネジコム キミノ キミノ ヨロコブ カオ ミタクテ
ウケトメテ キミノカラダデ ボクノドウシヨウモナイ
コイゴコロ ムネノイタミ カサナリタイオモイ

ナゼ ナゼ ナゼ ボクヲ コバムノ?
オモイシラセル ミンナ キョウリョクシテクレ

「ミンナデ マワシテ ナブッテアゲル」

レイプ! レイプ! レイプ!
レイプ! レイプ! レイプ!



スキダ! スキダ! スキダ!
レイプ! レイプ! レイプ!
スキダ! スキダ! スキダ!
レイプ! レイプ! レイプ!







【吐血】

嗚呼、神様!
とうとう僕に裁きを与えるんですね!
ねぇ、神様!
とうとう僕を殺して下さるんですね!

3年前の事です僕が血を吐いたのは覚悟はしてました僕は駄目人間だったのですよ
あれからというもの僕の病は癒えなくてどんどんますます駄目駄目になったのです
でも駄目な僕は他の駄目を増やす為に人間として駄目な事をどんどんやり続けました
駄目駄目駄目駄目うるさい駄目人間達を生き物として駄目にしてやったのですよ

まーた吐いた また吐いた
まーた吐いた また吐いた



血を吐いた僕が負ってきた3年の苦しみからこれでようやく解放されるのですね
目の前に見えるあなたは僕をやっと天国に連れて行ってくれるのでしょうね
それとも地獄なんでしょうかどうでも良いです早く連れてって下さいよ
僕は苦しいのです早く死にたいのです嬉しいです楽しいです笑っちゃいます

まーた吐いた また吐いた
まーた吐いた また吐いた
まーた吐いた また吐いた
まーた吐いた また吐いた

さぁ、神様!
僕は3年もずっと待ってたんですよ!
嗚呼、神様!
早く僕を殺して下さい!



早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!
早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!早く!



早く!










車道にフラフラ
狂った歩幅










うふふふふ
えへへへへ
ヒハハハハハ
ギャッハッハッハッハ
あーっはっはっは
いっひっひ
ウッフッフッフッフ
へへへへへ
キャーッハッハッハ
あははははははははははははははははギャァァァァァァァーーーーー!!!!







【終了】

山神:わーわー!
石田:有難う御座居ましたー!
岩垣:イエー!
村内:わ、わー!

山神:えっ、あの、アンコールとか無いの?!帰っちゃうよ!帰っちゃうよ!
石田:帰っちゃうよ!まだデモテープも配ってないよ!
岩垣:要らないんだってさ!
山神:え、え、帰っちゃうよ!良いの?!
石田:ええーい!騒ぎ立ちやがれー!
村内:挑発はまずいよ!







山神:アンコール!アンコール!アンコール!







【MC】

山神:そう言われたらまた出て来ざるをえませんね。
石田:袖から自分で言ってたじゃないか!
山神:ははは(笑)
石田:そう言うの良いから!そう言うの何か違うじゃないか俺達!
山神:まぁ、じゃぁ、とっとと曲に行きましょうか。
石田:今日はちょっとコンセプトを絞っちゃったので、此からはもっとちゃんとした「停滞前線」を見ていただきましょうね。
山神:停滞前線がどうあるべきかは知らないよ俺は!
石田:そんな大したもんでも無いしなぁ。
山神:うん………まぁ良いや!3曲続けてどうぞ!







【君花火】

一年ぶりの夏。
濃紺色の夜。
微熱の空気。
わめく汗。
死んでいる蝉。
静かな神社。
昇る花と、
散り行く炎。

照らされた地面には、君との思い出がバラバラになって、沈んでいる。

一年ぶりの夏。
濃紺色の夜。
微熱の空気。
叫ぶ汗。
元気の良い声。
五月蝿い人混み。
昇る花と、
散り行く炎。

照らされた地面には、思い出の君がバラバラになって、沈んでいる。

今夜、暗い夜空にドカンと散らばった花火。
多分、君の目にまだ映っているのだろうなあ。
いつか、真赤に染まった景色を君に見せたくて、
君を、火薬に乗せて虚空に飛ばしたっけ―――?

思い出の君が、バラバラになって、沈んでいる。



綺麗な君に会いたくて、
風に舞う君に会いたくて、
バラバラの君に会いたくて、
僕の地面に、ずっと、埋まって、いて、欲しくて―――!

欲しくて―――――!



今夜、暗い夜空にドカンと散らばった花火。
多分、君の目にまだ残っているのだろうなあ。
いつか、真赤に染まった景色を君に見せたくて、
君の、網膜に、鼓膜に、僕を、僕を、僕を、

僕を、僕を、僕を、焼き付けて―――。
―――僕を――――――僕を――僕を―――――――――――僕を―――僕を―――僕を――――――――――僕を――――――僕を―――――僕を――――僕を――――――、
僕を―――――僕を―――――――――僕を――僕を――――――――僕を―――――僕を――――僕を――――――僕を―僕を――――――僕を―――――――――――僕を――――、
―僕を―――――僕を―僕を―僕を―僕を――――――僕を―――――僕を―――僕を―――僕を―――――僕を――――――――僕を―――僕を――――僕を――――――――――――――ずっと―――。




一年ぶりの夏。
濃紺色の夜。
微熱の空気。
わめく汗。
死んでいる蝉。
静かな神社。
昇る花と、
散り行く炎。

照らされた地面には、思い出の君がバラバラになって、埋まっている。







【爆発日記】

目覚まし時計にムカついた。
勢いよく飛んだ歯磨き粉。
部屋の隅には10円玉。
全部が全部、オレンジ色になっちゃえば良いんだ!

赤巻紙青巻紙黄巻紙―――。

ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!
(4月9日、凛とした朝、日曜日。)
ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!
(今日も明日もあさっても。)
ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!
(クラリクラリの毎日を生きてます。)
ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!
(バイバイ希望。ハロー絶望。)



ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!
(4月9日、凛とした朝、日曜日。)
ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!
(毎日毎日、大嫌い。)
ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!
(フラリフラリと町中を歩きます。)
ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!
(バイバイ普通。ハロー特別。)



ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!
(4月9日、凛とした朝、日曜日。)
ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!
(今日はいつもとちょっと違う。)
ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!
(ユラリユラリと揺れ燃える炎。)
ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!
(バイバイ日常。ハロー………)



赤巻紙青巻紙黄巻紙―――。



4月9日、凛とした朝、日曜日。
いつもの町がなんか違う。
ニヤリニヤリと希望に満たされます。

赤、青、黄色。
目がチカチカ。
目眩を押さえながらも、
紙切れの為に働く―――?

赤巻紙、青巻紙、黄、巻、紙―――。



目覚まし時計にムカついた。
勢いよく飛んだ歯磨き粉。
部屋の隅には10円玉。
全部が全部、オレンジ色になっちゃえば良いんだ!

ドカン!







【僕は孤独】

独りである事には、

もう慣れた、

雨の中。

懐かしい、

窓の中。

目を閉じれば、

僕は、まだ、

思い出す。



僕は孤独。

僕は孤独。



寂しい事なんて無い。

雨なら、

いつか止む。



僕は孤独。

僕は孤独。



雨の中、

粒が有って、

その中の、

光は、

孤独。

窓の中、

僕が有って、

その中の、

僕は、

孤独?



僕は孤独?

僕は孤独?

僕は、

孤独?



悩み、

考え、

ふと、

気付く。



雨の音。

聞こえる。

水の音。

感じる。

雨粒は、

僕に当たって、僕を濡らす。

その瞬間、

僕は、雨と同じ?

ならば、僕は、孤独じゃない。



窓の外。

雨と、雨。

僕は、

雨。

一部。

孤独じゃない。



濡れる。





















気付いた時には雨は止み、

空は低温。

風が、

ヒヤリと背をなぞる。

ふと気付く。






























僕は孤独。



















石田:停滞前線でした。
四人:有難う御座居ました。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

水槽の一日、停滞前線、ツーマンライブ「貞操」。
以下、アタクシのセットリスト。

  -寸劇
 01.屋上
  -MC
 02.ヒトリキリ。
 03.恋愛ノイローゼ
  -MC
 04.無駄カルテ
 05.冷蔵庫で。
 06.街明り
  -寸劇
 07.赤紙
 08.乱交パーティー
 09.吐血
  -MC
 E1.君花火
 E2.爆発日記
 E3.僕は孤独

  →会場限定配布デモテープ「配布1」<http://jinx.in/saneatsu/kkkk/haifu1.html>
  →会場限定配布デモテープ「配布2」<http://jinx.in/saneatsu/kkkk/haifu2.html>

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------




(暗転)








「−−月−−日(日−月)」

あ。
ぁぁあぁあぁ。
ぁぁああぁああぁぁぁぁ。
ぁぁあぁあぁぁあぁ。
ああぁあぁぁああぁあぁあ。
ぁぁぁぁぁぁぁああ。
ぁぁぁぁあぁぁああぁぁ。
ぁぁぁああぁあぁあ。
ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ。


<空白日記>

目が覚めてもきっと醒めないんだ
こんな日はずっと眠っていたいと思う
何も無いと解っているから、きっと何も思わない筈でしょう

どうしようもない日々を残して、何を思い出せるのだろう
筆を詰まらせてばかりの記録は、一瞬で色褪せた
中身の無さ過ぎる僕の日々と、中身の無い僕自身は
全て建前の表面で出来ているのだろう

暖かな日差しを浴びて、空の日記を開いてみる
一日何をするのか書き留めておこう、先が見えない時世だから
後ろに振り向きたくはないから


―――――。
目障りな音。耳障りな光。朝焼けは僕を焼き尽くしてくれない。
眠っていたかった。安らかに眠っていたかったんです。
何も無いと解っているのだから。何もする気が起きませんから。
この永い空白の事を思うと、ただただ憂鬱でなりません。

頭が重いので、今日一日の事、書きます。

AM09:00 永い安眠に落ちる
AM10:45
AM11:30
PM01:15
PM02:10
PM03:00
PM05:00
PM08:40
PM09:00
PM09:35
PM10:20
PM10:30
PM10:45
PM11:00
PM11:15
PM11:30 安らかな永眠を知る

それでは、永い眠りに落ちてゆきます。
―――――。


中身の無さ過ぎる空白日記を、全て建前の真実で埋めてみよう!


暖かな日差しを浴びて、不意に目を開いていた
意識が動かない、こんな日はずっと、意識だけ眠らせておこう
真っ白な朝焼けは窓から、空の日記を焼き尽くす
空白で埋め尽くした空白日記は、一瞬で色褪せていった
未来を映し出す日記
安らかな永眠を見る


あの月が沈む頃に、またあの日記を書き始めよう





00. 目覚の章
魔導:御機嫌貞操。水槽の一日と申します。
鹿賀:やって参りました。停滞前線様との夢の競演ですよ!もうドッキドキでね!
魔導:力み過ぎて全てが空回らない様、人間としての貞操を守り抜こうと思います。
鹿賀:僕等の一線を超えたら多分とんでも無い事になるんでしょうね。華やかしい。
魔導:この度は、死線を踏み外さぬ様。変なプレッシャーさえ感じなければ良いのです。
鹿賀:そうとなれば・・・?
田螺:・・・さあ、全員帰りやがれ!

田螺:・・・はい、と言う事で。
魔導:宜しく貞操。
田螺:宜しく貞操。
鹿賀:宜しく貞操。
三人:宜しく貞操。


田螺:御断り。誰に提供するまでも無く、全て自分達に向けて電波を送信致します。御断り。





<水平線>

難しい事ばかり、安らぎもくれない
こんなワガママを受け入れてくれるのは、
誰にも受け入れられない僕だけしか居ない
弱音を吐く事がイケナイと言うなら、
そんな掟破りを犯した弱虫しか居ないと
この世に誓った僕は間違ってなんかいない

眠れない夜ばかり、すれ違いの朝焼け
そんなネクラを受け入れていたつもりで
誰にも見せたくない姿の僕は受け入れない
本音を吐く事が許されないと言うなら、
あんな建前がいつか褒められる様になるんだと
この世に誓った僕は素敵な嘘を身に着けました

現実、そんなモンでしょう?

時に立ち止まる事を忘れ止まらない、輪廻と共に
果てる人生が素晴らしいなら、今すぐ旅立てば叶う?

目の前で綺麗な水平線を描く日暮れは
僕の眼に焼き付いて離れなかった
奔ってばかりで、全然気付けなかったけれど
まだ 心の拠り所は消えてない?

遠くの夢ばかり追い求めて行き着いたのは
僕の眼には残らない、ただの廃
眠ってばかりで、全然無関心だったけれど
ただ 明日の景色もきっと涙で滲むだろう


所詮、淡い夢でしょう?

路頭に迷い込んで忘れ振り返らず、輪廻と共に
果てた自分が正しいのなら、時間は止まらず流れる?

目の前で滲んでいた視線に映る日暮れに
虚しさを憶えて、ただ立ち止まっていた
急いでばかりで、全然見えていなかったけれど
もう 世の役目は果たされた

遠くの陰ばかり追いかけて辿り着いたのは
誰の眼にも映らない、ただの影
避けてばかりで、全然届かなかったけれど
ただ 幾ら手を伸ばしたって抜け出せる筈無い
だから もう止める事にしました


−あの夕陽に首吊ってみたら、気持ち良く死ねるかな?−



<冬の日>

乾いた風に吹かれながら僕は家路を急ぐ
気の抜けた身体は風の後押しを
待ってるだけで、もう歩けなくなった

停電した正夢を見た
これ以上、失うのは怖いんだ
僕に残された無機物たちは全て火葬してしまおう

色褪せた街並みと 滲む僕の景色
意味も無く流す涙があるなら
枯れるまで全て流してしまって、
悲しみからずっと逃げていたいんだ

あの日の様に笑えない 上の空の僕
無理になってすぐ立ち止まり、背後をただ眺めていた
過ぎ去った思い出が
全て傷跡に変わり
刻んだ左手には何も残らなかった冬の日


追い掛けていても辿り着けない
僕に見せた温もりは建前?
残された日々は無意味だから全て見送る方がいい

青ざめた黄昏と 霞む意識の中
歩き続けてる、記憶に無い道を
気付けばボロボロになってしまった、
思い出からずっと目を逸らしていた

かじかんだ両手で握り締めた幻
影になって消えていった 夕暮れにただ伸びていた
捨てられない思い出が
僕の中で腐っても
きっと僕は気付かぬまま、眠りに沈む冬の火


現実からずっと逃げていたいんだ


寒い日見た雪の道 もう埋もれた足跡
無理になってすぐ立ち止まり、この先をただ眺めていた
消え去った思い出が
温もりに変わるなら
空見上げて笑っていたい、あの日を思う冬の日



<メランホリック>

意味もなく残された無表情で遊ぶ僕は、
見えない空想に現実を描く
あの日、依存が解けて気付けたはず
「依存の中毒に冒された身体」

嗚呼なんて有意義な命日だったのでしょう
その命を知った日には既に遅過ぎた様なのですが

形もなく残してある無表情を選ぶ僕は、
終わった理想で現実を壊す
あの日、依存が解けて忘れられたのに
「依存の中毒に救われた精神」

嗚呼なんて無意味な命日だったのでしょう
冷たい腐敗に僕の中毒を浴びせてやりましょう!

綺麗な夕陽が沈むあの場所で
泣きながら組み立てた思い出に
初めて気付いた傷跡を見ながら
憂いな憂鬱に沈んだ

朽ち果てた思い出が残っているから


「依存の中毒に朽ち果てた記憶」
嗚呼なんて無意味な命日だったのでしょう
その命に向けられた同情の列が目障りで
ただ何の言葉を供養すれば良いのでしょう
仕方ないから飛び散る同情を浴びせてあげよう!


綺麗な涙が散ったあの場所で
形もなく残してきた思い出に
初めて傷いた涙を流しながら
またバラバラな腐敗を組み立てよう!

憂いを捨てられないあの場所で
真っ赤に濡らしてきた涙でさえ
永遠に消えない傷跡抱えながら
憂鬱な中毒に冒された

今も未だ思い出に依存しているから



<自殺>

ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ

目障りな殺風景の中、遠い空想を見ながら
脳を締め付ける程の苦痛にまみれていたんです
人を傷付ける事に快感を憶えた非情な世に溺れた

傷付ける事を「美徳」と言うならば、貴方に美徳を刻み込みましょう

耳障りな耳鳴りの中何も聴こえない身を思う
意思も無く叫びながら苦痛の意味知りました
下らない繋がりを広く持ちながら笑って、素敵な自己満足です

傷付いた痕を「強さ」と言うならば、貴方に左手の「強さ」見せましょう

建前で笑いながら、腹の底から貴方を白く見るでしょう
この見苦しい馴れ合いから逃れる為に、僕は飛び込みたいんです

「これが最後の記憶です。」


昔っから周りを知りませんでした
こんな我侭過ぎる僕を受け入れて欲しい、だなんて
思っていたけれど思えない
過去に縛られた僕は周りを知ろうとしていない


目の前で笑いながら、神経の奥から貴方を遠く見るでしょう
見苦しい馴れ合いに染まった貴方は、僕の知らない赤の他人でした

離れることを恐れず、心の奥から決めた美徳なんです
あの晴れ渡る景色が見たくて、僕は飛び込んだ――――。

ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ


もう抜け殻の身体置き去りにして、空を見に行こう


「これが最期のわがままです。」




00. 人格の章
魔導:死にたいけど死ねない、だから歪んだ夢を見るっていう。
鹿賀:ダメ人間の象徴ですね僕ら。今更だけど。
魔導:実際死んで見たらどうなんですかね。所詮稚拙な夢を見てるだけだからね。
鹿賀:将来真っ暗だと思う。絶対まっすぐに生きられないって。
田螺:僕ら、既に人間としての貞操踏み外しちゃってるね!アッハッハッハッハ!
鹿賀:・・・あながち間違ってないのが憎いね。
鹿賀:生きる意味あんのかしら僕達は。
田螺:ダメならダメなりに開き直るしかないね。もう死に依存しちゃってるんだから。
三人:覚醒!覚醒!覚醒!覚醒!覚醒!覚醒!覚醒!覚醒!覚醒!覚醒!覚醒!覚醒!覚醒!存在隠せ!





<サイケデリック依存症>

立ち止まった誘蛾灯から離れられない
廃の群れ、光を辿り飛んで散った
何も見えない夜の夢、ひたすら探し歩く僕は
光さえも見つけられない侭

断ち止めた白昼夢がずっと戻れない
敗北は、見るも無残に輝き褪せた
腐ってしまったこの頭では、ただ駆け抜けてみても
現実と虚実が判らない

廃の中、手を伸ばして
思い切り、握り潰してみた

立ち込めた偏頭痛にずっと唸され
霞み気味の視界から浮かび上がった、
少しぼやけた影の中、ふと目に留まってしまった
現実を虚実を拒絶した

廃の様、目を潰して
振り切って、忘れようとしても
離れない、目を瞑って
思い切り、振り切った

形の無いサイケデリック 僕の中にこびり付く陰は

落ちかけた綴じ代が誰かを見つめてる
目覚めた侭の正夢にも、死線越えられるのでしょうか
誰にも気付かれる事無く、見知らぬ僕自身は
一瞬の隙間から、少し耳鳴りが止まらない
今、厳粛な誘蛾灯に恋してる


敗の中、頭を壊して
目の前を、全て消してみた


立ち止まった誘蛾灯から離れたくない
廃の群れ、混ざり込んで飛んで散った
手を伸ばしても届かない、その影と共に消えたくて
現実と虚実を拒絶した

離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない
離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない
離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない
離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない
離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない ただ・・・


目の前の君――――――――!


僕は僕の弱さを否定して、僕は僕の何を認める?
「教えてよ、君――――。」、「僕の目の前で――――。」
散歩する子供が酷く目障りで
誰か彼を下敷きにしてやって下さい、と
光に誘われた子供の足は一瞬で腐り、
グチャグチャの心から目の前と話しながら
この目障りな耳鳴りを消して下さい あの子に陰を下さい
どす黒い誘蛾灯を目に、目を輝かせた子供は叫んでる
蛾の中に幻が浮かぶから?中途半端な侭?

握り潰した蛾の廃
ドロドロになったグチャグチャな手
目を瞑り、目を潰した
霞む正夢
未だ耳鳴りが断ち止まらない
この手で掻き消した幻
影にこびり付いた陰
一瞬の隙間から零れる色褪せた正夢
現実と虚実の間にある死線の上、目を輝かせた僕が叫ぶ


「今、誘蛾灯に恋してる――――――――!」



<雨のオーケストラ>

「さよなら」を重ねて、消えた影に手を振った
今まで僕に差し伸べてくれた、その優しい手は
同情に塗り潰されていた
仕方なくこぼした「ありがとう」を忘れて、
過ぎ去った時を思った
時間と共に変わってしまった、あの優しい心
嗚呼、記憶が霞む様で 雨の中立ち尽くす未だ弱い僕

嘘と解っても笑い合っていた日々が、雨の中に浮かんで来た

雨のオーケストラよ流しておくれ、積み重なった僕の罪を
過去の痛みを忘れられるのなら、死んでしまってもいい


「ごめん」と呟いて、心は止まってしまった
時間と共に変わってしまった、あの若い僕ら
ただ、未来を知ってしまった 雨の中立ち止まる未だ脆い僕

二人を繋ぐ物がぶつかり合って、不協和音に変わっていた

雨のオーケストラよ今掻き消して、飛び交う街の雑音を
過去の後悔に縛られてる僕を、殺してしまってもいい


友達を忘れてしまった訳じゃない
だけど、あの頃には戻れない気がするんだ
ぼやけた記憶を手探りで辿り、歩き出せないまま
ずっと立ち止まってばかりの僕に、君は何を重ねてくれる?

「さよなら」――――・・・

汚れた空から、汚れた街へ降りてくる
酷く濁った雨に全てを流してしまおう
もう過去に縛られてばかりでは居られないから

「ありがとう」――――・・・

弱い僕に気付かせてくれた君へ、最後の言葉を捧げよう
いつまでもこんな僕で「ごめんなさい」――――・・・


過ぎた筈の眩し過ぎる思い出が、雨の中に浮かんで来た


雨のオーケストラよ流しておくれ、ただ笑っていた頃の記憶
過去の痛みを忘れられるのなら、君の姿追い掛けてもいい

不協和音よ僕を抱きしめて、思い出を忘れた身体
君が僕に残した罪と共に、また君へ会いに往くから

流れ往く灰色の空 土砂降りの中倒れた
遠い昔に置き忘れた 温かな思い出は
降り注がれる雨の中 温もりを失くして
宛ても知らずに彷徨う
バラバラに響く雨音と 昇っていった



<疎遠>

それぞれの選んだ道を歩き始めて時が過ぎ、
僕は相変わらず、何の変哲も無い生活に溺れています
増えてゆく束縛にもただただ耐えながら、
抵抗するのが怖い事、隠して笑っています

まるであの頃の様に

あれからどれだけの時間が過ぎたのでしょう
途絶えた繋がりにも気付かぬまま、僕は歩いています
時折頭の中で蘇りそうで怖かった、
抵抗さえ出来なかった、隠れて泣いていた日

まるで涙流す様に、
流れたのは紅い涙でした

短い間の「馴れ合い」は捨てて、「建前」を拾いました
夕暮れが綺麗だったあの帰り道 僕はいつもあそこで涙流しました
沈む夕陽の様な色をした涙を

もうあの思い出達は、全て火葬して消してしまいました
ごめんなさい もうこれ以上抱えたくなかったんです
嫌な記憶にすがり付く様で
もう慣れたこの生活と、思い出になれないあの日々を
比べる度 また過去に負けてしまうんです
思い出したくない程に笑っていた、痛い僕が


昔よく遊びに行った街へ迷い込みました
今も相変わらず、閑静な喚声が耳に突き刺さります
すれ違った思い出を眼に映す度に、
迫る動悸と恐怖、何かを吐き出しそうで

今も時々泣きます
誰も居ない夕暮れで

薄っぺらな「感情」は忘れて、「愛想」を憶えました
数年間使った「フリ」も全て 古い教科書と一緒に捨てました
どの苦痛も全て褪せ果てたから

もうあの笑い声さえも形無き「上辺」になってしまいました
ごめんなさい もう自分に嘘吐くのは止めました
僕が駄目になる様な気がしたんです
時には見失い、遠い未来に近付こうとしました
いずれ僕も 捨てる時が来るんです
未だ色褪せない内に、捨ててしまいたかった


「バイバイ。」
手を振って別れたあの紅い空 まるで僕の腕の様でした
見上げた空は電線に引き裂かれていました

「バイバイ。」
馴れ合って生きるのが嫌いでした
孤独から逃げる為に選んだ関係も、僕には似合いませんでした
一体何の為に友達を演じていたのでしょうか
枯葉が道路に落ちた時、堕ちた自分に気付いたんです


もう会う筈の無い関係も、一つ残さず消し去りました
ありがとう 弱い僕の事見捨てなかった、
微かに見えていた、大きな救いの手

作られた笑い声は、全て火葬して消してしまいました
ごめんなさい もうこれ以上抱えていられないんです
嫌な記憶にすがり付く様で
何も知らないこんな僕も、過去との決別を憶えました
さよなら 歩き出そうと決めたんです
僕の選んだ「疎遠」という道を胸に込めて

眼に焼き付けた夕陽を背に――――



<色褪せた僕が最後に呑んだ薬>

あの病院の帰り道、懐かしい景色に出遭ったんだ


あれは未だ緑が生い茂っていた頃 脳を締め付けて、
痛みに負けた時、駆け込んだ最後の逃げ道

そこで廃になった僕が居た 脳の痛みにやられ、
もう傷んでいた心、一緒に治してもらおうと思っていたんです
自分の意思も持てずに
重い口閉ざして石になって、現実から逃げていた
そんな僕に向かって「死ね」と浴びせたかった そんなあの日の僕

あれはもう緑が散っていった頃 脳に焼き付けた
痛みに負けても、容赦無く痛め付けようと思っていたんです
空気の薄い場所で
横になって目を閉じて、言い訳に依存していた
あんな僕に対して「死ね」と心の底から願っていた

認めなきゃいけないことも、
信じたくなかったいけない日々も、
全てを受け入れるしかないのに
背を向けて逃げてばかりで、
背後の壁に立ち向かえず、
弱い僕に気付いたから

そんな僕に光をくれたのは、「記憶」という名の薬でした
独りで傷付けるのはもう、止める事に決めたんです
あの日 もう一人の僕に見せた笑顔が、
一瞬の安らぎだった

そんな僕を支えてくれたのは、今は姿失き薬でした
現実に耽っていた僕に、「現実」を見せてくれた
こんな木漏れ日の光る日に、薬がそっと微笑みながら
僕にも明日が在るんだと、教えてくれました

あの日 腐った僕の脳に刻み込んだ、
今はもう色褪せた薬が消えない


だから、もう忘れようと決めました 自分で壊していた日々も
後ろばかり振り向いて居ても、結局何も変えられないと解ったんです
いつも薬に寄り掛かっていた日々は 全て捨てる事にしました
このままでは、僕が褪せていく様な気がして怖かった

優柔不断でどうしようもない僕が、ただ大嫌いでした
それでも僕は僕を歪ませ、 僕と向き合っていました
いつまでも逃げてばかりで居ては駄目になる、と知ったあの日
もう僕は駄目になっていたんです

色鮮やかな記憶にはもう戻れない



「あの病院の帰り道、懐かしい景色に出遭えたんだ。」



<影無キ白昼夢>

日差しが目に痛い午後 また あの夢へ旅立って行こう



   意識が身体を置き去りにしていく 時間を見送る事が生き甲斐の日々
   皆の視界から姿を消す様に、今日も皆の御機嫌取りをしましょう
   消したくても消せないのが、たった一つの心残りなんです
   そんな僕の心の内、薄情な貴方に解りますか
―影と姿を

   何故 僕が全て背負って安らぎを探すしかないのか
   自分の弱さに気が付けない程に、貧相な感性を持って
   成長して来たのですね
―無くした「本当」の世界を見ると

   僕に浴びせてくれた何時だったかの声、そのまま君に葬ってやる
―キリの無い苦痛で胸が痛くなります

   僕の目が見る事を許されたのは、
   いつも変わらぬ青空と、白いカーテン越しに見えた街の終焉です
   この街が皆を、見守って来たのでしょうか

飛び込んだ白昼夢の底は 今の僕を全て否定して、僕を目覚めへ誘う

   無意識に捨てた「本当」を避けて 時間を待つ事が野暮だと知った
   皆との境界でうずくまる日々、今日も鈍感な疎外感と遊びましょう
   消したくても消せない憤り、抱えたくない煩いにまみれて
   苦痛と共に生きる、本当の意味解りますか
―白く暖かな日差しは

   そう こじつけの格好良さを身に着けて貧相に笑って、
   「他人の弱さを嘲笑う皆が、嫌い」と言えない弱さを
   今にも殺したいんです
―昼夜兼行、苦痛を走らせて

   逃げ続ける生き方が許されたのは、全て見ぬフリをしていたから
―夢の奥へ僕を葬っていったんです

   僕の手が触れる事を許されたのは、
   埃まみれの窓枠と、掴みたくても掴めない空の破片です
   この空は僕を、見下しているのでしょうか

逃げ込んだ白昼夢の果ては 今の僕を全て否定した、容易い「命」でした


素敵に彩られた「悲しみ」なら、そんな建前望んではいない
ただ、「皆に愛される存在」になる事だけを待ち続けていました
凍える様な「優しさ」の中で

影と姿を無くした 「本当」の世界を見ていると キリの無い苦痛で胸が痛くなります

愛されぬまま、誰の視界にも映らぬまま果てた御機嫌取りは
ただ、愛される事を夢見て 白昼夢の底へ消えていきました
その存在に気付く人が居ない、非情な空間から逃げる様に

白く暖かな日差しは 昼夜兼行、苦痛を走らせて 夢の奥へ僕を葬っていったんです


白昼夢にしか無い居場所に住み着く影に、誰一人気付きませんでした
白昼夢にしか無い居場所に住み着く影を、誰一人見送りませんでした



日差しが目に痛い午後 また あの夢へ飛立って逝こう





00. 決別の章
鹿賀:そういえばさあ。時には開き直る事って、大事だよね!ね!
魔導:全然「時には」っていう範疇じゃないけどね僕ら。
田螺:結局自分自身が見えてないだけで、それを無理に強がって隠してるだけなんだって。
鹿賀:自然に隠れるモンじゃないんだ。もっと白昼夢にフェードアウトしてくイメージあるんだけど。
魔導:どっちにしろ夢見過ぎなんだよ僕ら。さあ、見たくない現実を見よう。ね!ね!
鹿賀:向き合ったってどうせすぐ逃げるんだろうしさ、そんなの何の為にもならないって。自分が見えない。
魔導:すぐ諦めるからダメなんだってば僕ら。やり込む事に異議がある筈。
鹿賀:じゃあ僕は異議を唱える。時には見切りを付ける事だって肝心だろう。
魔導:お前はいっつも見切ってばっかりじゃないか。
鹿賀:「続ければ何事上手く行く」だとか、そんな事言ってたら時間が無くなっちまうんだよ。
魔導:自分に合う物を選んでやるっていう事位、アンタにも出来るでしょうが。
鹿賀:確かに、始めは何事上手く行かないさ。自分には合わないさ。だから辞める、何がオカシイ?
魔導:そんな事を平然と容易く言えるお前が一番オカシイやい!
鹿賀:他人を平然と容易く軽々と侮辱するお前が一番オカシイ!
魔導:何だてめえこの野郎。
鹿賀:ああん?何だてめえ文句あんのか?



田螺:・・・はい。こんな事で争いを始める二人を平然と容易く放置できる僕が一番オカシイですね、はい。
   という訳で、水槽の一日は変人、否変体の集まりなのです。あ、皆さん御存知ですよね。
   そろそろ己の在るべき場所を確立してしまおうと思っていますが、そんなのはもう無理だと解りました。
   浮いてるんです。浮き過ぎているんです。あ、皆さん御存知ですよねアッハッハッハッハ。
   何かと自分の道を強引に切り開き過ぎたのです。自分の考えだけが全て先行してしまって。
   時とは、本当に残酷なものです。変わってしまうからこそ、人間なのです。
   そんな時間を経て、水槽の一日は変わりました。あ、こんな事自分で言うのも痛々しいですよね。ね。
   変わり果てた姿を今、見てみた時に何か感じる物があるのかと訊かれると多分応えられません。
   基準にする物がありませんから。正直、同じ土俵の上で較べられる対象ではないと感じるのです。
   浮き過ぎているのだから。
   周りに合わせた体裁をとってみようかと思いましたが、そんなん出来る筈もありません。
   結局、続けて何とかなるっていうのは野暮なんです。見切りを付けて新しい道を走るべきなんです。
   優柔不断と言い換えられますが、そうです。優柔不断です。
   幅広い世界観と言い換えられますが、優柔不断です。
   そろそろ自分を確立するべく、この活動にも見切りを付けようと思います。
   いいよね!?僕の独断だけど、いいよね!?自分には合わないから辞める、何かオカシイでしょうか?
   ・・・はい。という訳で。多くは語りません。御機嫌貞操。



魔鹿:(もう呆れ果てて異議を唱えられない)



田螺:またいつか、消えかけた血が熱く燃え盛り騒ぎ出す頃を待っています。グッバイ貞操。踏み外してゴメンネ。




<真っ青な月の下>

何て事ない日々と独り言を呟きながら、憂鬱な今日に火を灯した
何て事ない事を幸せだと思うのは、未だ早かったみたいで
如何したいのか解らず、ただ後ろ向きに奔っていた日々は
あまり苦痛でなかったけれど、虚しさになれない

あての無い幸せには慣れず、毎日の様に青い日が廻り
見上げればいつも青い陽が、赤く燃えて見下していた
「今日も酷く素敵な日だったんですね。」と笑う様に

真っ青な月の日はいつも赤い日が沈んだ後に来る
如何しようもなく如何しようもない僕は、憂鬱に沈んだまま
先を見失ってしまった明日を探して、消えてしまった火
僕は燃える前に燃え尽きてしまったんですか

真っ青な空の下で明日を振り返れば、いつも虚しさになる
如何しようもなく如何しようもない日に、気付いた空の日々
意味を見失ってしまった事に気付く、消えてしまいたい
「今日も酷く見苦しい姿でしたね。目障りでした。」

風よ あの火の様に僕の事遠くへ攫って下さい

真っ青な月の下で今日の事全て、忘れてしまおう
如何しようもなく如何しようもない事を、焼き尽くしてしまって
先を見失ってしまった明日取り戻して、また火を探そう
酷く見苦しかった今日の自分を葬って、
「明日も酷く素敵な姿でしたね。」と笑える様に―――――

真っ赤な月が昇る頃、消えていた火に明りを灯そう



「−−月−−日(月−火)」





























































































(暗転)





−あんこーる−





(暗転のまま)





<非健全的ミゼラブル>

ずっと遠い存在ばかり追いかけて
貧しい現実からの逃避のつもりでいるつもりとでも?
そんな夢みたいな世界を描けるのなら、
よく出来た理想は遠い物でしょう

嗚呼哀れに見えてミゼラブル 素敵な才能です

そんな無駄に豊かな感性あるのなら、
非常に繊細な情熱お持ちでしょう

嗚呼魅ぜられてミゼラブル 間違い等知らぬ

被害妄想がお得意の様ですね
でも、それに入り浸っちゃあ居られません
だって、用意されたシナリオ通りの世界なんでしょう?


何度傷心すれば気が済む的ミゼラブル 「側に居たいんだ」




「さよなら・・・強がりな涙だね。思い出を捨てて歩いてくよ。
 色褪せたね、もう僕が見てた君じゃないんだから。
 その笑顔はもう、腐敗でしかないんだから。
 孤独を乗り越えていくこと、全て忘れてしまうこと、
 別れってこんなモノだったんだね・・・。
 不器用な涙も愛してくれる?分からないまま。

 さよなら、強がりな涙だね。この傷を忘れて歩いているよ。二人で。」




ずっと遠い夢ばかり作り上げて
悲しい気持ち売り払いながらさぞかし愉快でしょう?
そんな悲観した世界に逃げていては、
いつかその心が腐って歪んでしまうでしょう

嗚呼愛を壊してミゼラブる 詰まらぬ言葉です

遠距離失恋が御定番の様ですね
何と、出来過ぎた世界でありましょうか
そんな、失い過ぎたらただの悲観的な少年でしか無くなるのに

夢見る青年は恋焦がれ
素敵な景色を浮かべ
沈む夕陽の陽射しに焦がれ
健全的黄昏に沈むのでしょう

嗚呼歪んだ精神この身を永遠に沈めて


言葉変えて似た世界描くのなら、
夢見ることを忘れたこの身の目を疑って下さい


似合わぬ皮肉を並べちゃあ居りませぬが
ちょっとばかしこんなのもアリでしょう。



(明転)



<旅立ちの音>

少し風当たりが強い朝
滲んだ陽
意識の無い抜け殻
意思を忘れた色
未だ蒼いまま伸びない目
溺れた目
形の見えない理想
自己満足が最高
唯若さの消えない姿
外れた道
何時も立っている交差点
今歩き出した先

幾つ染め上げた別の色
歪んだ目
原型を残している音
色が混ざる十字交差点

点の上で弾け飛ぶ不協和音
鳴り響く疑惑の声 今染め上げる媒体

暗い夜に招く人格
裂かれた血
意識すら無い擬態
意思を失くした神
躊躇いの無い常識
壊れた手
先の見えない空想
思うが侭の自由辞交差点

点の中で飛び散る不協和音
鳴り響く絶望の声 対人不協和音


旅立った音は鳴り響く 空想に溺れた青年を晒し上げる様に


月明かりの照らす隅
消え往く影
白い溜息になる孤独
痛い悲哀な言葉
遠い思い出からの決別
大事な人
素晴らし過ぎた敬意
色を落とした十字交差点

歩き出す
埋め込まれた感動
何処へ向かうのか
宛ての無い旅立ち
誰も見送らない侭
歩き出す
薄っぺらな人格で
何を探すのか
意義の無い旅立ち
眩ませた筈の姿は

未だ 故郷を捨てられなかったという

有り触れた結末
予想外の展開
在り来たりな文句
究極の選択
甘過ぎた現実
期待外の同情
緩過ぎた決心
救い様の無い結末
(最)後に残した泣き言
(乱)雑な偽善賛美歌
(罵)倒の声の終末
(時)間と共に軽薄
(優)柔不断な約束
(嘘)八百の根幹
(自)由を語る遺言
(露)骨な逃亡の果てに


無意識と共に歩き始めた音 もうあの日には――――?





00. 自覚の章
田螺:徐々に素性が露になりつつありますが。
魔導:ええと、そろそろ終わりが見えて参りました。拍手。
鹿賀:今、ワタクシ達の投げ込まれた空間に光は見えません。
魔導:このまま、腐って、無くなってしまうのでしょうか。
鹿賀:そんな結末は望まずともいずれ廻って来てしまう事でしょう。
魔導:遠い未来に近付く足を、今誰かが早足で歩いているのなら、
鹿賀:ワタクシ達は決して止めたりはしません。
魔導:人の決意にいちいち口出し出来る程、大した存在ではありません。
鹿賀:ですが、終わりを知っているのなら、その終わりに近付く事が全て悪いとは思いません。
魔導:余命3ヶ月、果たしてこの期限を如何埋められようか。
鹿賀:中身の無い3ヶ月なのか、埋め尽くされた3ヶ月なのか、それは未だ知られたものではありません。
魔導:果たして、終わりを知らなかったのなら誰かがいつもの様な戯言を晒すのでしょうか。
鹿賀:今、ワタクシ達の投げ込まれた水槽は光を失くしつつあります。
魔導:新しい時代を夢見た戦士達もいずれ息絶える事でしょう。
鹿賀:現に、その中で一つの光が消え掛けています。
魔導:きっと、もう誰にも止める事は出来ないでしょう。もう、早足で歩き始めてしまったのですから。
鹿賀:二度と戻らない事でしょう。新しい時代はこんな物だったのです所詮。
魔導:行き止まりの道しか無い十字交差点。綺麗に彩られた翼。上辺だけの決意。
田螺:偏見まみれで書かれた新聞。滞る戯言の山。道を拓き過ぎた劣屈。
魔導:何故、ポッカリと空いた穴を埋めてしまったのでしょう?何故、消さなかったのでしょう?
鹿賀:ワタクシ達は、そんな腐った水槽の中で延々と泳がされる運命だったのかもしれません。
魔導:偶然だけで得られた椅子に座って得られたのは、ただの空虚な空間だけでした。
鹿賀:あの椅子に二度も座る必要なんて要らなかったんです。偶然で勝ち取った椅子はとても居心地が宜しくない。
魔導:そこから見下ろす水槽の底では、ほんの僅かながら醜い馴れ合いが見えました。
鹿賀:歪んだ感性が在る事の意義は一体何なのか、自分を見直すにはとても良い時間でした。
魔導:そして今、その結論を下します。否もう下しました。これが、ワタクシ達の選んだ最後の道です。
鹿賀:もう後悔は致しません。醜い過去も全て、この椅子の上に置き去りにしていきます。
魔導:ワタクシ達の座るべき椅子ではありません。ワタクシ達が汚してしまい、誠に申し訳無い。
鹿賀:素直さを忘れてしまったワタクシ達にはもうやるべき事は残っていません。
魔導:ただただ、同じ土俵を探しに逝く事のみです。この土俵で威張る事に優越を感じている暇等無い。
鹿賀:この醜態を受け止めて下さった方々に、最後の戯言を奉げよう。
田螺:朽ち果てた新時代の夕暮れが、憎らしい程に大好きです。
魔導:この夕暮れを目に焼き付け、いつまでも笑って生きて逝きます。
鹿賀:水槽の中で生きた数ヶ月は非常に素敵な物でした。ありがとう貞操。
魔導:今、この音達と共に、旅立ちます。さらば、水槽の刻印。
田螺:もう腐った屍骸になるのが運命ですが、その最期を見届けて頂けたら光栄です。

三人:貞操の告げる夕暮れに腐った屍の昇華劇――――――――――――――――。








<カラスの告げる夕暮れに崩れた屍の昇華劇>

家を忘れて路頭に佇んでしまった卑猥な老人達
錆び切った自転車を押して必死に歩く悲惨な子供達
叫んでばかりで枯れてしまった声に気付かぬまま囁く大人達
何もかもを見失ってしまったので記憶を断ち

切って

ガラクタに埋もれた街で笑っていられる
キチガイで溢れた社会で見下してしまえる
それは己の私利私欲を満たす為だけに生産された者で
一切関係の無い災害でしかない
アングラに溺れた少女が気持ち良く笑っている
モノクロに憧れた少年の夢が叶ってしまった
それはただの未知未来を誰も予想出来ない不確かな証拠であって
全然転々と移る時代に宣戦布告を戦前にしたものでしょう

そんな朽ち果てた夕暮れ 今日もカラスが叫ぶ
カーカーカーアッハッハッハハハ!

強い風によろめいて、骨無き屍は崩れる
並べられた言葉に意味を求めて、
真面目であることに自惚れている いと哀れナリ


愛にさらわれ露骨に繕ってしまった卑怯な御友達
指切った御約束に縛られ必死で守る純粋な生徒達
悩んでばかりで病んでしまった脳に快感を浴びせまくる青年達
誰もかもを嫌いになってしまったので呼吸を絶ち

切って

アバウトに駆られた街で生きていられる
ハイカラを装った社会で見過ごしてしまえる
それは己の自己満足を隠し切れずに垣間見えた欲望で
一流絢爛で全て汚れてしまった
スクープに汚された住民が隠れてバラ撒いている
デジタルに表れた悪態を見抜き手放してしまった
それはただの現実逃避に焦がれた都会人の歪んだ目線の先であって
全然健全と遠い人格に喧々騒音を騒然と浴びせたのでしょう

そんな荒れ果てた夕焼け 今夜もカラスが叫ぶ
カーカーカーアッハッハッハハハ!

強い風に身を委ね、骨無き屍は昇りゆく
並べられた死体に言葉失くして、
目の前の光景に悲鳴が轟く
永い道を歩き終えて、力無き足を棒に振る
浮かべられた笑顔に言葉探して、
目の前の夕暮れにただ思いを馳せることしか今は出来ない

この夕暮れの中で魂は昇華していくのでしょう


カラスは今日も夕暮れを告げる
カラスは今日も夕暮れを叫ぶ
カラスは今夜も暗闇を告げる
カラスは今夜も暗闇で叫ぶ
カラスは明日も屍を積んでいく
カラスは明日も屍と積まれていく
カラスは毎日昇華劇を見守る
カラスは毎日昇華劇と消え去る

カラスは今も生命の夕暮れを告げる

ガラクタに埋もれた街で笑っていられる
キチガイで溢れた社会で見下してしまえる
アングラに溺れた少女が気持ち良く笑っている
モノクロに憧れた少年の夢が叶ってしまった
アバウトに駆られた街で生きていられる
ハイカラを装った社会で見過ごしてしまえる
スクープに汚された住民が隠れてバラ撒いている
デジタルに表れた悪態を見抜き手放してしまった

慣れない作り笑いで汚されてしまった


強い風によろめいて、明日無き屍は崩れた
見捨てられた過去に意味を求めて、
今 その終わりを知る
カラスが知らせる
淡い黄昏の中で、居場所探していたんだ
カーカーカーアッハッハッハ・・・


−貞操 水槽の刻 終演也−


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貞操 水槽の刻 セットリスト

01.空白日記 −夜明の刻−
00.目覚の章
02.永遠の子供達
03.おもひで
04.水平線
05.冬の日
06.メランホリック
07.自殺
00.人格の章
08.サイケデリック依存症
09.雨のオーケストラ
10.色褪せた僕が最後に飲んだ薬
11.影無キ白昼夢
00.決別の章
12.真っ青な月の下 −夜更の刻−

−アンコール−

13.非健全的ミゼラブル −蘇生の刻−
14.旅立ちの音
00.自覚の章
15.カラスの告げる夕暮れに崩れた屍の昇華劇 −終焉の刻−



別れもない人生なんて、
つまんないでしょ?
だから、とりあえず、
グッド、バイ。(by. 桜井 青様)
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